1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11165233
|
Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
末木 啓介 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (90187609)
|
Keywords | 単層ナノチューブ / 金属フラーレン / アーク放電法 / 放射性同位体 / マルチトレーサー / 放射化 / メスバウアー |
Research Abstract |
今年度は単層ナノチューブ合成における金属の役割を調べるために放射性同位体のマルチトレーサーを用いて研究を行うための専用のアーク放電用合成装置の設計と製作を行った。 基礎研究として二点について重点的に調べた。 1.Ni-Feを含む炭素棒からアーク放電法によって単層ナノチューブを作り、その蜘蛛の巣状の生成物についてチューブ以外の不純物を除く操作について、放射化法とメスバウアー分光法で検討した。チューブの精製には空気中で300℃から400℃での加熱による不純物の炭素の燃焼と酸(塩酸および硝酸)による金属元素の除去を行った。この実験の結果から次のようなことが分かった。酸による金属の除去に関しては3M塩酸で一部は可溶になり取り除かれる。これをメスバウアーで調べると最初から酸化物になっている成分は簡単に取り除かれるが金属相として存在している成分は酸に不溶であることが分かった。また、これらの試料は空気中で350℃で加熱すると酸化物に一部変化して、この成分は酸に可溶であることが明らかになった。この結果から金属層はグラファイト層に包まれたナノパーティクルの成分であることが予想された。また、酸化物相はグラファイト層には覆われていない成分であると考えられる。 2.放射性トレーサーを含む炭素棒の作り方について検討を行った。炭素棒に穴を開けてその中に金属酸化物と炭素粉末の混合物を詰めていく、この時にエタノールに溶かしたマルチトレーサーを含む溶液を少しづつ加えて乾燥させる操作を行い、最後に200℃で乾燥させた炭素棒を陽極にしてアーク放電法を行い金属フラーレンの合成が出来るか調べた。この結果、金属にガドリニウムを用いた場合に確かに放射性金属フラーレンの合成がなされることが確認された。この炭素棒の作製で放射性トレーサーを用いて同様な条件で炭素ナノチューブの合成を行うことが出来ることから、炭素ナノチューブ合成における金属の役割をマルチトレーサーで追跡できることが確認された。
|
-
[Publications] K. Sueki et al.: "A C_<82> Carbon Cage Stable towrd Two Different Oxidation States of Enclohedral Metal Atomic"J. Phys. Chem.. B103. 1390-1392 (1999)
-
[Publications] H. Nakahara et al.: "Nuclean reactlons and radionuclides in the study of fullevenos"J. Rasioanal. Nacl. Chem.. 243. 169-179 (2000)
-
[Publications] K. Akiyama et al.: "New fullevenes of a group IV element : Hf metallo fullevenes"Chem. Phys. Lett.. 317. 490-496 (2000)