1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11165236
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
溝口 憲治 東京都立大学, 理学研究科, 教授 (40087101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 浩一 東京都立大学, 理学研究科, 助手 (90187047)
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Keywords | フラーレン / ESR / 圧力 / 強磁性 / 軌道秩序 / スピン磁化率 / 反強磁性 / 相転移 |
Research Abstract |
種々の相転移を示すフラーレンの新固体相の中でA1C60とTDAE-C60に注目し、その電子状態を明らかにする目的で高圧下のESR測定を液体ヘリウム温度まで行った。ESR周波数は40〜100MHz、圧力は20kbar(2GPa)の範囲である。圧力下の実験は初めての試みであったので、アルカリ・エレクトロ・ソーダライト(AES)を最初の例として実験を開始した。この物質は、基底状態が反強磁性のモット絶縁体と考えられているが、加圧と共に転移温度が下がり、外挿すると約60kbar辺りで転移温度がゼロになることが分かった。 A1C60はAとしてアルカリ金属のRb、Csを入れた系について調べた。50Kで相転移を起こし、SDW相に入る。50K以上では金属的な電気伝導を示すが、転移温度に近づくと半導体的な振舞いに変わる。圧力を加えていくと転移温度は徐々に減少し、約12kbar以上、2K以上では転移が観測されなくなる。この変化に伴い、ワイス温度も減少し、12kbar以上ではほとんど温度に依存しないパウリ磁化率変わることが確認できた。すなわち、この圧力以上でほぼ全温度領域で金属的になっていることが明らかになった。この結論は電気伝導度の圧力下測定の報告と一致するが、MMRによる5kbar辺りで非磁性になるという結論とは一致しない。 TDAE-C60は16Kで強磁性転移を起こし,有機強磁性としては高い転移温度を持つ。この物質の強磁性は有機系に特徴的なp電子による軟強磁性体であることが分ってきたが、その機構はまだ分っていない。これに圧力を加えると分子間の交換相互作用を調整することが出来ることから、強磁性を起こす機構を探ることが出来る。約9kbarで強磁性転移温度はほぼゼロになり、その減少がT_C(1-aP^2)に従っていることが分った。この変化は、1価のC60イオンがヤーンテラー歪みを起こしていることを考慮した電総研の川本徹氏の軌道秩序モデルにより説明が可能なことが示された。
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[Publications] K. Mizoguchi: "Effect of Pressue on Antiferromagnetic Transition in Alkali-Electro-Sodalite"Mol. Cryst. & Liq. Cryst.. (in press).
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[Publications] K. Mizoguchi: "ESR study in advanced materrials with new parameters : Frequency and Pressure"Journal of Korean Physical Society. (in press).