2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11165243
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes |
Principal Investigator |
加藤 立久 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 助教授 (80175702)
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Keywords | 金属内包フラーレン / ランタノイド金属 / 4f電子 / ESR測定 |
Research Abstract |
4f電子殻を持つランタノイド金属はフラーレン炭素ケージに内包される。4f殻電子物性の特異性と、新奇なフラーレンネットワークによる配位子場摂動が相まって全く新しい伝導性・磁性が期待される。フラーレンネットワークに内包したランタノイド金属の新しいランタノイド化学・4f電子スピン化学の基本となるランタニウム金属内包フラーレンの分子磁性を明らかにした。異なるフラーレンケージを持つ一連の金属内包フラーレンLa@Cn異性体を単離・精製して、電子吸収スペクトル、電子スピン共鳴スペクトルを測定した。また、電子スピン共鳴スペクトルの温度依存性から各異性体の電子スピンパラメータを決定し、スピンダイナミックスを考察できた。その結果それぞれの金属内包フラーレンの分子構造、電子状態、電子スピン状態を明らかにした。 決定された電子スピンパラメータの値から内包金属の6s軌道(フェルミコンタクト項・電気四重極項)と5d軌道(磁気ダイポール項)の上の不対電子密度が決定できた。その結果、ランタニウム金属内包フラーレンの電子状態は三個の電子が金属からフラーレンケージへ分子内電荷移動した電子状態と特徴付けられることが明らかになった。また、包摂するフラーレンケージの幾何学的対称性が異なると電子スピン共鳴スペクトル線幅に異常が認められる系が発見された。このスペクトル線幅の異常はケージの対称性が高いために生じたヤーンテラー効果に原因していると結論できた。
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