2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11166217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
永田 敬 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (10164211)
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Keywords | 分子クラスター負イオン / 二酸化炭素クラスター / ポリハロゲン負イオン / 負イオン-分子反応 / 単分子溶媒効果 |
Research Abstract |
本研究では,(1)気相の反応試剤を「集合化(クラスター化)」によって修飾することにより,反応のメカニズムがどのように変化するかを調べ,(2)「集合化」を用いて気相反応の断面積・分岐比を制御するためのストラテジーを開発することを目的とし,以下の研究を行なった. 1.クラスター負イオン-分子衝突反応装置の開発 集合化した気相反応試剤として質量選別・速度制御したクラスター負イオンビームを用い,分子との詳細な衝突反応実験を行なうために,クラスター負イオン源,質量選別・速度制御系,イオンガイド,質量分析系から構成されるクラスター負イオン-分子衝突反応装置装置を製作した.これまでの調整により,有効衝突エネルギー数eV〜数10 eVの範囲でクラスター負イオン-分子衝突の実験が可能となった. 2.単分子溶媒和系の光解離 気相における電子過剰型ポリハロゲンI_3^-およびその単分子溶媒和系(唯ひとつの分子が溶媒和した系)の光吸収スペクトル,光解離質量スペクトルを2.7〜4.6eVの波長範囲で系統的に測定し,光解離断面積および生成物分岐比を決定した.この結果,プロトン性溶媒がI_3^-の特定の電子状態に対して顕著な溶媒効果を示し,非断熱遷移を含む光解離反応の分岐比を大きく変化させることを見出した.この成果は,凝縮相におけるI_3^-の光解離メカニズムに関する分子レベルの情報を与え,溶媒効果による光解離反応制御の設計に繋がるものと考えられる. 3.反応試剤の構造修飾と評価 集合化によって修飾された気相の求核反応試剤として我々が実験的に見いだした(CO_2)_n^-の電子構造と幾何構造をMP2/6-31G レベルのab initio計算によって評価した.
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[Publications] M.Saeki et al.: "Ab initio study of (CO_2)_n^- : structures and stabilities of isomers"Chemical Physics Letters. (印刷中). (2001)
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[Publications] K.Kanda et al.: "Photodissociation spectroscopy of ClCN in the vacuum ultraviolet region"Chemical Physics. 255. 369-378 (2000)
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[Publications] T.Tsukuda et al.: "Growth mechanism of metal clusters in ligand exchange processes"Transaction of Materials Research Society of Japan. 25. 929-932 (2000)