1999 Fiscal Year Annual Research Report
理論計算を駆使した有機金属クラスター設計による新規炭素―炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
11166220
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 正治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (00282723)
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Keywords | 有機金属クラスター / 炭素-炭素結合生成反応 / 有機亜鉛 / 有機マグネシウム / ab initro計算 / 密度汎用故法計算 |
Research Abstract |
本研究は有機金属試薬の不飽和化合物に対する付加反応に関して計算化学的手法を用いた理論研究を行い,得られた知見を基に新たな炭素-炭素結合生成反応の設計,開発を行なうことを目的としている.本研究によって.これまで反応機構が不明であったアリル亜鉛試薬のビニルグリニャール試薬に対する付加反応について,亜鉛/マグネシウム有機金属クラスターが鍵中間体として生成していることが明らかとなり,今後の反応設計の指針を得ることが出来た.以下,概略を述べる. アリル亜鉛試薬のビニル金属種への付加反応は生成物として興味深い二核金属種を与えるが,その反応機構は全く不明である.本反応条件下で,RMX型の有機金属試薬が2量体以上のオリゴマーで存在することが予想されることから多金属中心に着目した反応経路を検討した.その結果以下のような反応経路で付加が進行することが明らかとなった.まず出発物質の会合体からトランスメタル化反応の中間体とも見做せる有機金属クラスターを形成し,その構造を保持しつつ反応が進行する.付加の遷移構造はルイス酸である塩化マグネシウムによって活性化されたメタラクライゼン転位と見做せ,マグネシウムと亜鉛の協働作用の重要性を示すものである.この活性化エネルギーは15.4kcal/molと実験結果との良い一致を示している.ここで得られるMg/Zn二核金属生成物は原系に比べ不安定なものの,さらにトランスメタル化過程を経て有機亜鉛クラスターとなることで熱力学的な安定化エネルギーを獲得し反応が進行する。 以上の理論検討で得られた遷移状態,および反応系の熱力学的な情報は,合成反応試剤として更なる有用性を持つ新規有機金属クラスター反応剤の設計,開発において亜要な知見となろう.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] M. Nakamura: "Iron-Catalyzed olefin carbometalation"Journal of the American Chemical Society. 122. 978-979 (2000)
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[Publications] A. Hirai: "Synergetic Dimetallic Effects in Gaudenor/Normant Coupling"Journal of the American Chemical Society. 121. 8665-8666 (1999)
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[Publications] S. Mori: "Correlation of Reactivities of Organoasprate (I) and Zincate (II)"Tetrahedron発表予定.
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[Publications] M. Nakamura: "One-Pot Synthesis of Pyrroles through Carbometalation Reaction"Org. Lett.. 1. 1505-1507 (1999)