1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11166221
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小坂田 耕太郎 東京工業大学, 資源化学研究所, 教授 (00152455)
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Keywords | 理論計算 / 有機遷移金属錯体 / トランスメタル化 / 複核錯体 / d軌道 |
Research Abstract |
理論化学との協同によって有機遷移金属錯体の新反応をみいだすことを目標として研究を行い、本年度はトランスメタル化を中心とする素反応を錯体レベルで検討し、いくつかの興味深い結果を得た。 トリアルキルホスフィンを支持配位子とするアリール(アルキニル)パラジウム錯体はハロゲノパラジウム錯体と反応してアルキニル基のトランスメタル化生成物を与える。熱力学的により安定な配位結合をもつアルキニル基が選択的にトランスメタル化反応を行う理由を、会合的な中間体におけるアルキニル基のσ、π橋かけ配位、さらにその橋かけσ、π配位様式のπ、σへの変換の活性障壁に基づいて考察した。 金属-炭素結合がより安定なアリールパラジウム錯体にホウフッ化銀等を添加して積極的にアリールパラジウムカチオン錯体を生成させると、容易に不均化をへるビアリールの遊離を観測することができる。アリール配位子の置換基効果を検討したところ、電子供与性置換基はトランスメタル化反応を促進することがわかった。 橋かけアルキニル基を有する複核遷移金属錯体は多数知られているが、アリール基、アルキル基を橋かけ配位子として有する錯体の合成例ははるかに少ない。複核遷移金属錯体における有機シリル配位子の金属間移動反応の詳細を明らかにするために、橋架け有機ケイ素配位子をもつ複核錯体の構造について検討を行った。これらのいくつかは実験的に構造を定めることが困難であったので、計算による最適化を行い、結合を解明した。2つの金属間のシリル配位子移動反応の高エネルギー中間体または遷移状態に相当する錯体を得た。異なる金属間のシリル配位子移動反応を検討するために、白金シリル錯体とロジウム錯体との反応を試み、以下に示すように異種金属間の配位子移動の結果生じるいくつかの金属錯体を単離し、それぞれの構造解析を行った。
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[Publications] K. Osakada, H. Takimoto, T. Yamamoto: "Reaction of 2-Aryl-1-methylenecyclopropane with Rh(I) Complex Leading to Ring-opening Isomerization π-coordination of the C=C Double Bond"J. Chem. Soc., Dalton Trans.. 853-860 (1999)
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[Publications] Y. J. Kim, K. Osakada, M. Tanabe, T. Yamamoto: "Trans and Cis Isomers of Pt (SiHAr_2)_2 (PR_3)_2 (R=Me, Et) Type Complexes in the Solid State in Solutions"18. 1349-1352 (1999)
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[Publications] 小坂田耕太郎、山本隆一: "有機遷移金属錯体のトランスメタル化反応、均一系触媒反応との関連"有機合成化学協会誌. 57. 305-312 (2000)
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[Publications] K. Osakada, H. Takimoto, T. Yamamoto: "Mechanistic Features of Intermolecular Thiolato Ligands Transfer from Thiolato-tiatnocene to Pt (Cl) Me (cod) to Give Methyl (arylthiolato) platinum (II) Complexes"Bull. Chem. Soc. Jpn.. 73. in press (2000)
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[Publications] K. Osakada, M. Hamada, T. Yamamoto: "Intermolecular Alkynyl Ligand Transfer of Pd (II) and Pt (III) Complexes with -C≡CCOOR and -C≡CPh Ligands. Relative Stability of the Alkynyl Complexes Conproportionation of Dialkynyl Diiodo Complexes of These Metals"Organometallics. 19. 458-468 (2000)
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[Publications] K. Osakada, T. Yamamoto: "Transmetallation of alkynyl and aryl complexes of group 10 transition metals"Coordination Chemistry Reviews. (in press). (2000)