2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11166247
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
相田 美砂子 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90175159)
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Keywords | 核酸塩基 / 蛋白質 / 特異的認識反応 / ab initio MD法 / QM / MM法 / 水和エネルギー / 非経験的分子軌道法 / 加水分解反応 |
Research Abstract |
巨大な生体高分子内において進行する化学反応のメカニズムを明らかにするために、非経験的分子軌道法に基づいたアプローチをすすめた。 1.核酸の塩基配列の蛋白質アミノ酸側鎖による特異的認識は、遺伝子の発現・制御において中心的な役割を果たしている。非経験的分子軌道法計算によって導出したポテンシャルを使用し、アミノ酸側鎖-核酸塩基対間相互作用の自由エネルギー、エンタルピー、エントロピー変化を求めた。その結果、核酸塩基対-アミノ酸側鎖間の水素結合形成が特異的認識において重要な役割を果たしており、また、水素結合形成によってエネルギー的には安定化するがエントロピー的には不利になることを明確に示すことができた。そのため、ポテンシャルエネルギーのマップと自由エネルギーのマップとは必ずしも一致しない。 2.今年度新規に購入したワークステーションは既存のワークステーションとネットワークで結び、並列計算をできるように設定した。また、プログラムは並列化を推進した。 3.生体における反応は水溶液中において進行している。そこで多数の溶媒分子を反応系にあらわに考慮に入れることのできる手法(QM/MM法)を水溶液中において進行する有機化学反応に適用し、その有用性を明らかにした。まず、溶質分子をab initio MO法によって取り扱い、溶媒分子をTIP3P分子として取り扱うことによって、いくつかの分子の水和エネルギーをみつもった。その結果、実測の水和エンタルピーをよく再現するエネルギー値を得た。また、t-BuClの加水分解反応の反応機構を分子のレベルで理解するためにQM/MM法に基づくMDシミュレーションを適用し、どのような中間体を経て加水分解反応(SN1反応)が進行するのかについて明らかにした。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Misako Aida: "Critical Assessment of the Hybrid QM/MM-pol-vib Approach : Small water clusters using polarizable flexible water potentials"International Journal of Quantum Chemistry. 77. 199-210 (2000)
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[Publications] Misako Aida: "Modeling of reactivities of organic molecules by means of ab initio MD method"Large-Scale Scientific Computations of Engineering and Environmental Problems II. 319-327 (2000)