1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11166251
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安蘇 芳雄 九州大学, 有機化学基礎研究センター, 助教授 (60151065)
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Keywords | 分子ワイヤ / オリゴチオフェン / チエニレンエチニレン / 電子機能 / 拡張共役系 / 分子設計 |
Research Abstract |
特異な電子機能を有する材料の開発を目的として,直線状やコイル状の分子配座を有するナノサイズπ共役オリゴマーの分子設計と効率的合成の設計により,種々の物性測定や素子作成による材料評価が可能なスケールでの合成を行い,分子サイズと分子配座に由来する電子機能の開拓を行った。 1.最近,完全に単分散性の共役オリゴマーの研究が盛んである。中でも,ナノメートルサイズの分子長を有する長鎖共役オリゴマーは分子ワイヤと称され,分子素子への応用の将来性が期待されている。本研究では,分子長が10nmを越える分子ワイヤの開発を目的して長鎖オリゴチオフェンの合成および鎖長と物性の相関に関して研究を行い,48量体までの一連のオリゴマーの合成に成功すると共に物性に及ぼす鎖長の有効共役長について重要な知見を得た。キャスト方で作成したオリゴチオフェンフィルムのドープによる電気伝導度測定,および塩化メチレン中での酸化種の電子吸収スペクトルから,6量体ではポーラロンが主体的キャリヤであり,13量体以上ではツインポーラロンがキャリヤの主役であると推定された。 2.ワイヤ型の剛直なオリゴチオフェンに対し,より柔軟な形でπ共役系を連結することでコンフォメーションの自由度が高まり,分子コイルの形成や種々の相互作用に起因する動的な挙動が期待できる。本研究では,2,3-チエニレン=エチニレンオリゴマーの合成を行い,構造と性質に関して研究した。末端エチニル誘導体とヨードチオフェン誘導体のカップリング反応を繰り返すことで,チオフェンユニット16個までのオリゴマーの合成に成功した。本系の応用として,オリゴマーとC60を連結した化合物を合成して,光挙動を調べた。トリエン中で400nmの光で励起すると,オリゴマー部に由来する蛍光の強度がの1/100以下となり,C60部由来の蛍光が観測された。このことは,オリゴマー部に生成した励起子がエネルギー移動あるいは電子移動を介してC60部によって有効にクエンチされたことを示しており,新しいエネルギー/電子伝達系として興味深い。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Hidetaka Nakanishi: "The Longest Class of Oligothiophenes"Synthetic Metals. 101・1-3. 604-606 (1999)
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[Publications] Hidetaka Nakanishi: "Molecular and Crystal Structures of 2,2':5',2'':5'',2'''-Quaterselenophene"Synthelic Metals. 101・1-3. 639-639 (1999)
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[Publications] Koichi Imamura: "Tripheny leno[1,12-bcd:4,5-b'c'd':8,9-b''c''d'']trithiophene:the First Bowl-Shaped Heteroaromatic"Chemical Communication. ・18. 1859-1860 (1999)
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[Publications] Shinobu Inoue: "Hexakis(terthiophenylthio)benzene as a New Class Liquid Crystallin Molecule"Journal of Chemical Research(S). ・10. 596-597 (1999)