2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11167206
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
吉田 亮 筑波大学, 応用生物学系, 講師 (80256495)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
国府田 悦男 筑波大学, 応用生物学系, 教授 (40124648)
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Keywords | 高分子ゲル / N-イソプロピルアクリルアミド / ベローソフ・ジャボチンスキー反応 / 振動反応 / 自励振動 / 非線形化学 / インテリジェント材料 / 分子シンクロナイゼーション |
Research Abstract |
ベローソフ・ジャボチンスキー(BZ)反応の触媒をポリ-N-イソプロピルアクリルアミドに共重合したゲルを作成し、ゲル相内部でBZ反応を起こすことにより、膨潤・収縮の自励的振動を生起する新規な生体模倣ゲルを設計・構築した。化学/体積振動間の共役機構を解明し、振動パターンを制御することを目的とした。まず、触媒を固定したゲル系で起こるBZ反応の特徴を明らかにするために、(1)波長以上のサイズを持ち体積変化率の小さいゲルについて、化学反応波の時系列画像解析から、周期の基質濃度依存性を溶液系と比較した。振動波形を数理モデルによるシュミレーションと比較することにより、拡散阻害が各反応過程に与える影響を考察した。マクロ的に観察される振動パターンがゲル内の濃度変化を反映することから、バルク相からゲル相(あるいは逆)の反応基質・生成物の拡散阻害効果を検討した。次に、(2)波長以下の微小サイズを有し、体積変化率が大きくなるゲルを用いて、その酸化還元振動および同位相で起こる体積振動パターンを詳細に解析した。外部基質濃度を変え、化学振動の周期や振幅を変えることにより膨潤収縮振動の制御を試みた。また両振動のプロフィールの相関から、化学/体積振動間のシンクロ機構(フィードバック機構など)を検討した。 BZ反応の振動周期は、基質の初期濃度により変化する。3種類の反応基質濃度をそれぞれ変化させ、振動が起こる領域を示す相図を作成した。ゲル系は溶液系に比べて振動領域が狭くなった。また、同じ濃度条件下では、ゲル系の周期は溶液系に比べて長くなった。基質濃度変化による化学振動波形の変化を比較した結果、溶液系ではパルス波形がほとんど変化しなかったのに対し、ゲル系では還元プロセスの速度低下による波形変化が見られた。これらの結果は、触媒固定化による基質の拡散阻害効果を反映していると推察された。体積変化率が大きくなる微小ゲルを用いると、ゲルが同じ化学組成であるにも関わらず周期の基質濃度依存性が異なった。すなわち、拡散阻害・希釈効果のみならず、ゲルのメカニカルな変化が化学振動とのシンクロナイゼーションプロセスに影響を与えるものと考えられる。体積変化率は周期が長くなるほど大きくなり、基質濃度や触媒導入量を変えることでゲルの体積振動の振幅が制御可能であることが分かった。また膨潤収縮の振幅が大きくなるに従い、化学振動のパルス波形はBZ反応固有の鋸波状から矩形状に変化した。これは体積振動から化学振動へのフィードバックが生じていることを示唆している。
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[Publications] R.Yoshida: "Traveling chemical waves for measuring solute diffusivity in thermosensitive poly (N-isopropylacrylamide) gel"J.Phys.Chem.A. (in press).
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[Publications] R.Yoshida: "In-phase synchronization of chemical and mechanical oscillations in self-oscillating gels"J.Phys.Chem.A. 104[32]. 7549-7555 (2000)
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[Publications] R.Yoshida: "Self-oscillation mechanism of hydrogel coupled with chemical oscillations"Macromol.Symp.. 160. 183-190 (2000)
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[Publications] R.Yoshida: "Aspects of the Belousov-Zhabotinsky reaction in polymer gels"J.Phys.Chem.A. 103[43]. 8573-8578 (1999)
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[Publications] R.Yoshida: "Molecular design of self-oscillating polymer gels and their dynamic swelling-deswelling behaviors"J.Intelligent Material Systems and Structures. 10. 451-457 (1999)
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[Publications] R.Yoshida: "Beating polymer gels coupled with a nonlinear chemcial reaction"CHAOS. 9[2]. 260-266 (1999)