2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11167206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 亮 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80256495)
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Keywords | 高分子ゲル / N-イソプロピルアクリルアミド / 刺激応答性高分子 / 自励振動 / ベローソフ・ジャボチンスキー反応 / 振動反応 / 非線形化学 / インテリジェント材料 |
Research Abstract |
代謝回路のようにサイクリックな反応ネットワークを形成する化学振動反応(Belousov-Zhabotinsky反応:BZ反応)を用い、化学振動から力学振動への変換プロセスを分子回路として組み込むことにより、刺激のon-offなしに自励的に膨潤収縮振動する新しい心筋模倣ゲルの設計・構築を行った。触媒部位のミクロな酸化還元振動からポリマーネットワークのマクロな力学振動に至る階層的なシンクロナイゼーション現象を解析するために、ゲルの構成高分子鎖であるNIPAAm-co-Ru(bpy)_3ポリマーをBZ反応の基質溶液中に溶かした溶液を作製し、高分子鎖の周期的な溶解【double arrow】不溶変化を光学的な透過率変化として測定した。また、ポリマーを架橋したサブミクロンサイズのゲル微粒子についても同様の測定を行い、2つの系の振動挙動を比較することにより、高分子鎖の振動が互いにシンクロナイズするときの架橋の影響について検討した。 ポリマー溶液の透過率の温度依存性を測定した結果、酸化状態では還元状態に比べてLCSTが高くなったが、これはRu(bpy)_3部位の電荷が上昇したことにより親水性が増加したためである。LCSTの差はポリマーへのRu(bpy)_3導入量の増加に伴って大きくなった。次にBZ反応の反応物であるマロン酸、NaBrO_3、HNO_3を含む溶液にポリマーを溶解した溶液を調製し、この溶液の一定温度下での透過率の時間変化を測定した。その結果、ポリマーの周期的な溶解・不溶変化に基づく透過率の振動が観測された。Ru(bpy)_3含率が増加すると、同一温度でも振動の振幅は大きくなることが確認された。さらに、同じ基質濃度に対して、溶液系<ポリマー系<ゲル微粒子系の順番に周期が長くなることがわかった。これは(1)架橋によってポリマー鎖が協同的な振動を起こすように束縛を受けたことによる効果と、(2)ゲル内への基質の拡散が水溶液中の場合に比べて困難であるために起こった効果によるものであると考えられた。
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[Publications] R.Yoshida, G.Otoshi, T.Yamaguchi, E.Kokufuta: "Traveling chemical waves for measuring solute diffusivity in theremosensitive poly(N-isopropylacrylamide) gel"J. Phys. Chem. A. 105(14). 3667-3672 (2001)
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[Publications] O.Tabata, H.Hirasawa, S.Aoki, R.Yoshida, E.Kokufuta: "Ciliary motion actuator using self-oscillating gel"Sensors and Actuators A. 95. 234-238 (2002)
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[Publications] O.Tabata, H.Hirasawa, S.Aoki, R.Yoshida, E.Kokufuta: "Ciliary motion actuator using self-oscillating gel"Proceedings of the International Conference on MEMS' 01. 405-408 (2001)
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[Publications] R.Yoshida, T.Sakai, T.Yamaguchi: "Design of novel biomimetic polymer gels with self-oscillating function"Sci. Tech. Adv. Mater.. (in press). (2002)
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[Publications] 吉田 亮: "生体機能を模倣した新しい自励振動高分子ゲル"繊維と工業. 57(12). 324-327 (2001)
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[Publications] 吉田 亮: "心筋を模倣した自励発振ゲルの設計と応用"医学のあゆみ. 199(11・12). 766-770 (2001)