1999 Fiscal Year Annual Research Report
ゲルの相転移を利用した柔軟性のあるマイクロアクチュエータの開発
Project/Area Number |
11167208
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
鈴木 博章 筑波大学, 物質工学系, 助教授 (20282337)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 聰 東京大学, 先端科学技術研究センター, 助手 (70262110)
|
Keywords | ゲル / 相転移 / サンプリング / 異方性エッシング / グルコースセンサ |
Research Abstract |
微小化学分析システム(μTAS)の実現にあたり、今後の課題の一つとしてサンプリング機構の開発が挙げられる。これを実現するために、poly(n-isopropylacrylamide)ゲルの相転移に伴う体積変化に着目した。これにより、人間の体温を検知して、血液を自動的にサンプリングするマイクロシステムも可能になる。膨潤・収縮に要する時間はゲルの大きさにより大きく変わるが、数μL程度のゲルでは、数秒〜数分程度の現実的な時間内で膨潤・収縮を行わせることができる。シリコン基板上に、ゲルを収容する微小容器(2mm×10mm×0.19mm)を異方性エッチングにより、サンプル導入用流路を厚膜フォトレジストにより形成した。また、ポンプの機能確認用マイクログルコースセンサをガラス基板上に形成した。作用極近傍に酵素(グルコースオキシダーゼ)を牛血清アルブミンとグルタルアルデヒドを用いて固定した。これらの基板を接着してシステムを完成させた。微小容器内のゲルに30℃と40℃のステップ状の温度刺激を与え、その膨潤・収縮の様子を調べた。その結果、60秒以内の時間で収縮・膨張が完了することを確認した。また、18回程度の熱サイクルに対し、再現性良く収縮・膨張を繰り返すことができた。微小容器内でゲルを可逆的に膨潤・収縮させることができたため、完成した微小システム中で、サンプル溶液の吸引が加納かどうか調べた。その結果、ゲルが膨張して浅い凹部を通してグルコース標準液を吸引するのが観察され、これに伴いグルコースセンサの電流値が増大するのが確認された。また、2.5mM以下のグルコース濃度範囲において、グルコース濃度と出力電流値の間に直線的な関係が認められた。
|