1999 Fiscal Year Annual Research Report
生体内埋め込み型人工膵臓として機能する分子シンクロデバイスの創製
Project/Area Number |
11167212
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (90193341)
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Keywords | 生体適合性 / MPCポリマー / エラストマー / ブレンド膜 / 溶解性パラメーター / 血小板粘着 / 分子シンクロ型デバイス / セグメント化ポリウレタン |
Research Abstract |
今回はデバイスを構築するための被覆材料として生体適合性熱可塑性エラストマーの分子設計とその合成を行なった.2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)と疎水性アルキルメタクリレートとのコポリマーは,表面に生体膜類似構造を形成ため,優れた生体適合性を発現する. セグメント化ポリウレタン(SPU)のソフトセグメントとの親和性を期待して,2-エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)を共重合したMPCポリマー(PMEH)を合成した.SPUとしてTecoflex60(TX60)を用いた.TX60とPMEHとを分子状態で完全に混合するためには,均一に溶解する共通溶媒の選択が重要である.溶解性パラメーターとの相関も明確に認められ,TX60及びPMEHは溶解性パラメーターが20-22の範囲がよいことがわかった.この結果より,塩化メチレン/エタノール=70/30を共通溶媒として選択した.得られた膜はPMEHの組成が15wt%まで極めて良好な形状と柔軟性を示していた.TX60とPMEHとのブレンド膜のXPS分析の結果,製膜時に生じる空気面に比較して基質(テフロン)面にPMEHの濃縮が確認された.応力歪み曲線を作成した結果,ブレンド膜ではTX60膜と同様の傾向を示した.PMEHをブレンドしたTX60膜の血液適合性に関して,血小板の粘着過程より評価した.TX60膜では多数の血小板が粘着し,粘着した血小板に活性化が見られ変形しているのが認められた.PMEHブレンド膜共に血小板の粘着を効果的に抑制した.また粘着した血小板の活性化及び変形は認められなかった. 以上の要素技術を組み合わせて,生体内埋植が可能な分子シンクロ型デバイスの構築を行う.
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[Publications] K. Ishihara, E. Ishikawa, Y. Iwasaki, and N. Nakabayashi: "Inhibition of Cell Adhesion of the Substrate by Coating with 2-Mechacryloyloxyethyl Phosphorylcholine Polymers"J. Biomater. Sci., Polymer Edn.. 10・10. 1047-1061 (1999)
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[Publications] Y. Iwasaki, N. Nakabayashi, and K. Ishihara: "Competitive Adsorption between Phospholipid and Plasma Protein on a Phospholipid Polymer Surface"J. Biomater. Sci., Polymer Edn.. 10・5. 513-529 (1999)