2001 Fiscal Year Annual Research Report
分子シンクロ材料システムによる人工膵臓機能デバイスの創製
Project/Area Number |
11167212
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石原 一彦 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90193341)
|
Keywords | 人工膵臓 / リン脂質ポリマー / ポリウレタン / ドメイン構造 / 溶質透過性 / ポリマーアロイ / インスリン / 分子シンクロナイゼーション |
Research Abstract |
分子シンクロ材料システムによる人工膵臓機能デバイスの創製に不可欠な溶質透過性と生体適合性を併せ持った新規バイオマテリアルを創製した。血管内皮細胞表面に存在する代表的なリン脂質極性基であるホスホリルコリン基を側鎖に有する2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)を2-エチルヘキシルメタクリレート(EHMA)と共重合した(PMEH30)。SPU/MPCポリマーブレンド膜を作製するために、MPCポリマーとSPUをエタノール系溶媒を用いてポリマーブレンド溶液(ブレンド組成5/5w/w)を調製し、溶媒蒸発法にて膜厚40μm程度のブレンド膜を作製した。膜の表面解析はX線光電子分光(XPS)測定により行った。また膜の表面および断面をSEMにより観察した。膜の特性評価は、機械的特性および溶質透過性を、引張り試験およびインスリンの透過実験によりそれぞれ行った。XPSによる解析結果からSPU/MPCポリマーブレンド膜の表面にはMPCポリマーが存在していることが明らかとなった。膜の断面SEM観察から、SPU膜が均一構造であった。一方SPU/MPCポリマーブレンド膜は凹凸であり、SPUとMPCポリマーのマクロな相分離が確認され、このような膜表面、膜内部でのMPCポリマーによるドメイン形成は溶質透過性を発現すると考えられる。引張り試験による機械的特性評価から、SPU/MPCポリマーブレンド膜はこれまで生体軟組織の代替マテリアルとして広く応用されてきたシリコーンとの強度比較により、軟組織への埋込みに際して強度的な問題はないと考えられた。インスリン透過実験より、SPU/MPCポリマーブレンド膜はインスリンのような分子量6000の比較的大きな溶質も3×10-8cm2/secの拡散係数で透過することが分かった。SPU膜では全く透過が認められないことから、これはMPCポリマーのドメインがブレンド膜を貫通して形成していることを示し、溶質透過性を有する新しいポリマーアロイエラストマーの創製に成功した。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] Ryo Ogawa et al.: "Preparation of Biocompatible Thermoplastic Polymer Materials Composed of 2-Methacryloyloxyethyl Phosphorylcholine Polymer and Segmented Polyurethane"J. Biomed. Mater. Res.. (in press). (2002)
-
[Publications] Ryo Ogawa et al.: "SPU/MPC Polymer Alloy as Nano-Scale Regulated Biomaterials"Trans. Mater. Res. Soc. Jpn.. (in press). (2002)
-
[Publications] Tomoaki Uchiyama et al.: "Biocompatible Polymer Alloy Membrane for Implantable Artificial Pancreas"J. Membrane Sci.. (in press). (2002)
-
[Publications] Tomoaki Uchiyama et al.: "Biocompatible Polymer Alloy Membrane for Artificial Pancreas"Trans. Mater. Res. Soc. Jpn.. (in press). (2002)