1999 Fiscal Year Annual Research Report
親和性の高次同調スイッチングに基づく高効率人工能動輸送系の構築
Project/Area Number |
11167213
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒木 孝二 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (40134639)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
務台 俊樹 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (80313112)
|
Keywords | 金属錯体 / PH駆動型キャリア / 能動輸送 / アニオン / プロトン / スイッチング |
Research Abstract |
本年度は、わずかなpH差で効率の良いアニオン能動輸送を実現することが判明している錯体キャリアについて詳細に検討し、効率の良いpH駆動型能動輸送を実現するためのキャリアの設計指針の探索をおこなった。 用いたキャリアは、2,2'-ビピリジン-6,6'-ジアミドを配位子とする平面正方型ニッケル(II)錯体であり、この錯体は、pHにより配位子上の二つのアミドプロトンが可逆的に解離し、錯体の価数が+2または0となることによって、アニオンに対する親和性が変化する。そこでまず、キャリア分子を含む有機相と水相との界面における、アニオン基質の移動について詳しく検討した。 キャリア分子を含むジクロロメタン相とSCN^-を含む水相からなる二相系では、pHを2変化させると、錯体の価数が+II/0となるのに対応してアニオンの取込み・放出がおこなわれた。これは、基質結合サイト(金属)とスイッチングサイト(配位子)が分離されており、基質取込み平衡とスイッチング反応とが完全に同調していることの寄与と考えられる。また、基質親和性スイッチングがプロトン濃度の二次に比例することが、鋭いpH応答性に寄与していることを明らかにした。 さらに、速度論的な検討をおこなったところ、界面における基質取込み/放出の速度は、いずれの条件でもキャリア分子濃度のみに依存するという結果が得られた。 上で得られた知見に基づき、水相A(pH3〜5)からキャリア/ジクロロメタン液膜相を介した水相B(pH6)へのアニオンの二次能動輸送系について解析をおこなった。その結果、疎水性、配位性の高いアニオンが選択的に輸送されること、水相間のpH差が2あれば二次能動輸送が起きること、pH差から基質濃度差への変換効率が極めて高いことなど、いずれも二相系で得られた結論と対応した。 以上の結果から、基質結合部位とスイッチング部位の分離、および両部位間の高次同調性というキャリア設計指針は、高効率人工能動輸送系構築に有用な考え方となることが示された。
|
-
[Publications] C. -S. Choi, T. Mutai, S. Arita, K. Araki: "A Novel Fluorescent 2, 2'-Biryrindin Derivative Prepared by Coupling to a Fluorescent Aminophenazine-Fluorescent properties and response toward metal Cations"Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 2. 2000. 243-247 (2000)
-
[Publications] J. Otsuki, T. Yamagata, K. Araki, T. Takido, S. Seno: "Crown Ether Appended Phtahlimides : Ion-Responsive Fluorophores with a handle"Chemistry Letters. 2000. In press (2000)
-
[Publications] S. Kawaguchi, T. Kajikawa, M. Kaneko, T. Koshimizu, K. Araki: "Formation of the Lanthanide Complexes with Bipyridine-Functionalized Amide Compounds and Their Unusually High Amide Reactivity"Bulletin of Chemical Society of Japan. 72. 2729-2736 (1999)
-
[Publications] T. Tomoda, T. Hidrano, S. Saito, T. Mutai, K, Araki: "Syntheses and Fluorescent Properties of Imidazo [1, 2-a] pyridine Derivatives"Bulletin of Chemical Society of Japan. 72. 1327-1334 (1999)
-
[Publications] 大月穣、荒木孝二: "生物に学び分子レベルで電子、光子を操る"生産研究. 51. 551-555 (1999)
-
[Publications] L. Mishra, A.K. Yadaw, C.-S. Choi, K. Araki: "Spectroscopic, Luminescent, Electrochemical and Antibacterial Activity of Aryl/azolo 2,4-Pentanediones and Their Ru (II)-2, 2'-bipyridiyl Complexes"Indian Journal of Chemistry. 38A. 339 (1999)