1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11167217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西原 寛 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (70156090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栗原 正人 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (50292826)
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Keywords | アゾ / 多核錯体 / フェロセン / ビピリジン錯体 / テルピリジン錯体 / 光異性化 / レドックス |
Research Abstract |
本研究では、アゾ基でレドックス錯体ユニット同士を連結した多核錯体、高分子錯体を対象とし、様々な物性を光照射によって可逆的にスイッチすることができる系を創製することを目的とする。具体的には、1)アゾ架橋フェロセンオリゴマーおよびポリマーの物性と光異性化反応、および2)アゾ架橋ビピリジン、テルピリジンおよびそれらを配位子とする錯体の合成、物性と光異性化反応、の研究を行なった。 アゾ架橋フェロセンオリゴマー、ポリマーの合成においては、既知の二量体であるアゾフェロセンの他に、新規な二種の三量体およびポリマーの合成に成功した。アゾフェロセンについては、トランス体のX線結晶構造を明らかにした。またこれらのアゾ架橋フェロセンオリゴマー多核錯体のレドックス特性および混合原子価状態における光学特性を種々の溶媒中で測定し、フェロセン核間の電子相互作用に及ぼす溶媒効果などを系統的に解析した。さらに、アゾ架橋フェロセンオリゴマーがDMSOやベンゾニトリルなどの溶媒中で光異性化反応を起すことを見出した。アゾフェロセンの光異性化により生じたシス体は、トランス体に比べて卑なレドックス電位をもち、また混合原子価状態の熱力学的安定性を示す2段のレドックス電位の差はトランス体より小さく、シス体の立体的歪みによるπ共役の低下が起こると解釈された。 アゾベンゼンで架橋した新規ビスビピリジン、テルピリジン配位子を合成し、さらにそれらのロジウム、ルテニウム、コバルト複核錯体を合成した。それらの配位子および錯体の光異性化反応およびレドックス特性、光学特性等を調べ、光異性化反応に及ぼす中心金属、対イオン、溶媒の顕著な効果を見出した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] M. Kurihara, M. Kurosawa, T. Matsuda, H. Nishihara: "Synthesis and Physical Properties of Azo-ferrocene Oligomers and Polymers"Synth. Metals. 102・1-3. 1517-1518 (1999)
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[Publications] M. Kurosawa, T. Nankawa, K. Kubo, M. Kurihara, H. Nishihara: "Synthesis of Azo-bridged Ferrocene Oligomers and a Polymer and Electrochemical and Optical Analysis of Internuclear Electronic Interactions in Their Mixed-Valence States"Inorg. Chem.. 38・22. 5113-5123 (1999)