1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11167272
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
竹内 俊文 広島市立大学, 情報科学部, 教授 (70179612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 淳 広島市立大学, 情報科学部, 助手 (10264954)
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Keywords | モレキュラーインプリンティング法 / 分子認識 / 選択的物質輸送ポリマー膜 / アゾベンゼン / 光異性化 |
Research Abstract |
本研究では、生体システムの重要な機能である分子認識および選択的な物質輸送の機能を持ち、さらにその機能が外部からの刺激によって制御可能なインターフェイスを備えたポリマー材料を創製することを目的としている。分子認識能および選択的輸送能力の導入はモレキュラーインプリンティング法により行い、外部刺激を受けるインターフェースはアゾベンゼン骨格をポリマー構造に組み入れることによって構築する。 選択的輸送を行うポリマー膜を調製するにあたり、クラックのない均一な性質と厚さのポリマーを得ることが重要となる。しかし、従来のカバーガラス上で調製する方法では中央が厚いドーム状のポリマー膜が形成され、また、乾燥中に割れることも多い。そこで、本研究ではシリコンシートとガラス板で囲まれた「合成チャンバー」内でポリマー膜を調製する方法の検討を行った。円形に刳り抜いた孔を重合反応溶液で満たしながらシリコンシートの上下をトリメチルシリルクロライトで処理したスライドガラスで挟み込み、窒素雰囲気下、70℃で30〜40分間加熱し、ポリマー膜を得た。得られた膜の物質輸送能について今後検討を行う。 アゾベンゼン骨格をもつ架橋性モノマーは、光刺激により異性化する性質を持つため、架橋点間距離を変えることにより、ポリマーの構造および認識・輸送能に大きく影響を与えることが期待できる。そこでモノマーの光異性化条件についての検討を行った。架橋性モノマーのシクロロメタン溶液(0.025mM)に紫外光(340mm)を照射し、紫外・可視吸収スペクトルの経時変化を観測した結果、紫外光の照射に伴って、340mm付近に極大をもつ吸収帯の減少が見られ、同時に440mm付近に吸収の増大が見られた。これは紫外光による異性化によるものと思われるため、今後同条件を用いることにより、ポリマー調製時、あるいは結合能評価時に異性の制御を行うことが可能になると考えられる。
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