1999 Fiscal Year Annual Research Report
分子シンクロナイゼーションを発現するミクロ領域における構造と物性に関する研究
Project/Area Number |
11167282
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
原 正彦 理化学研究所, エキゾチック・ナノ材料研究チーム, 副チームリーダー(研究職) (50181003)
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Keywords | 近接場 / プローブ / 光ファイバ / ナノレオロジー / 単一分子 / 原子間力顕微鏡 / カンチレバー / フォールディング |
Research Abstract |
1.近接場光学プローブの構築 局所的な分子の挙動や発光現象を観察するために、先鋭化光ファイバを形成し、走査型プローブ顕微鏡のピエゾ部分に固定し、その有用性を確認した。特に色素の発光寿命とスペクトル、さらに生体分子のイメージングと光学的信号検出を行った結果、前者はフォトンカウンティングにより局所的なスペクトルを示すことが出来、後者では非破壊によるその場信号検出の可能性を確認した。例えば、金属基板近傍に存在する色素の発光寿命はバルクのそれとは異なることが実測された。また生理的活性状態下における生体分子の信号検出では、モルフォロジーと併せて、信号強度並びに信号形状の位置依存も確認した。 2.ナノレオロジープローブの構築 単一分子を原子間力顕微鏡のカンチレバーと単結晶基板の間に挟み、任意の波形で分子の延伸と圧縮を繰返すシステムならびにその試料調整法を検討した。分子/基板間ないし分子/カンチレバー間の結合は分子の両端にSH基を導入し、基板とカンチレバー表面に金(基板は単結晶)を用いることによりS-Auの化学結合で実現している。カンチレバーによる延伸と圧縮に対して、同位相同周期で分子が反応する場合の観測結果に加えて、圧縮するとさらに引力が働く逆位相現象も確認された。これは分子自体がある延伸長の領域で、自発的にフォールディングとアンフォールディングを繰返していることに相当すると考えられる。そこで、分子のバネ定数が延伸長に依存する系を仮定してシミュレーションを試みたところ、実験結果を再現する波形が得られ、本研究におけるプローブ手法によって単分子を対象としたナノレオロジー計測の可能性が示唆された。
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