1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11168202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高畑 雅一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10111147)
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Keywords | アメリカザリガニ / 微小脳 / 平衡胞 / 歩脚自己受容器 / 眼柄 / 尾扇肢 / 中枢性補償 / 筋電図 |
Research Abstract |
アメリカザリガニProcambarus clarkii Girardの脱皮または実験的な片側平均石除去に伴う左右平衡胞入力の中枢性補償メカニズムを明らかにする目的で、本年度は、平衡石除去後の付属肢姿勢回復過程を行動計測および筋電図記録により調べ、回復に必要な感覚条件を調査した。除去直後、眼柄・尾扇肢ともに水平位置で左右非対称の位置関係を示した。体傾斜に対しては、その角度に応じた反射活動が観察された。除去後、自由条件化および視覚・歩脚自己受容器刺激の様々の組み合わせ条件下(形14種類)でそれぞれ10個体を2週間飼育した結果、暗黒環境および左右対称の光照射環境でそれぞれ歩脚を水中で浮かせた2つの条件下では、全く回復が見られなかった。歩脚支持盤が両側性に存在する場合、光照射の有無・左右方向性などにかかわらず統計的に有意な回復が観察された。これらの結果は、回復には歩脚入力が重要であり、視覚刺激は副次的な役割にとどまることを示唆する。ただし、片側性に歩脚支持盤をあてがった条件下では、特定の光照射条件との組み合わせた場合にのみ、統計的に有意な回復が見られた。除去直後の左右非対称からの回復の継時変化は連続的であり、回復の過程に閾値、階段状変化などは見られなかった。左右眼柄の挙上筋活動記録を行って回復に伴う変化を追跡した結果、行動レベルで回復が起こった個体では、除去後の飼育における感覚条件の種類には関係なく、共通の筋活動パターン変化が観察された。回復が不完全な個体では、除去直後の左右不均衡がそのまま維持されていた。これらの結果は、飼育時の感覚条件にかかわらず、回復が共通の神経機構に依存していることを示唆している。今後、脳内で平均胞および歩脚自己受容器から感覚入力を受ける細胞の同定とその姿勢回復に伴う活動変化の追跡が必要である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sakuraba T: "Motor pattern changes during central compensation of eyestalk posture after unilateral statolith"Zoological Science. 17. 19-26 (2000)
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[Publications] Sakuraba T.: "Effects of visual and leg proprioceptor inputs on recovery of eyestalk posture following unilateral"Naturwissenschaften. 86. 346-349 (1999)
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[Publications] Mizunami M.: "Exploration into the adaptive design of the arthropod "microbrain""Zoological Science. 16. 703-709 (1999)