2000 Fiscal Year Annual Research Report
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11168202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高畑 雅一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10111147)
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Keywords | アメリカザリガニ / 微小脳 / 平衡胞 / ノンスパイキング介在ニューロン / 眼柄 / 中枢性補償 / 樹状突起膜性質 / シナプス活動 |
Research Abstract |
アメリカザリガニの脱皮または実験的な片側平衡胞除去に伴う左右平衡胞入力の中枢性補償機構を解明する目的で、平衡胞-眼柄運動系に含まれる同定ノンスパイキング介在ニューロンNGIの生理学的性質を、平衡胞除去後の眼柄姿勢回復と関連づけて追跡した。正常個体では、左右NGIの静止電位、入力抵抗、膜時定数に有意差は見られなかった。ともに、脱および過分極性の自発的シナプス活動を示した。平衡石除去直後、左右NGIの静止電位に有意差は見られなかった。シナプス活動では、除去反対側で脱分極性シナプス活動頻度が増加するとともに、過分極性活動が減少した。除去側では、これと反対の傾向が見られたが、その違いは有意ではなかった。入力抵抗には両側間で有意差が見られなかったが、膜時定数は、除去側で長くなり、反対側では短かった。除去後14日目の回復個体では、除去側で入力抵抗、膜時定数が、除去直後と較べて有意に増加した。ただし、回復後の膜時定数の値は、正常個体での値と変わらなかった。一方、入力抵抗は、除去直後には変化せず、14日後の回復時に正常値よりも増加した。除去反対側では、入力抵抗、膜時定数に有意な変化を示さなかった。未回復個体では、入力抵抗・膜時定数ともに、除去側および反対側で有意な変化を示さなかった。脱分極性のシナプス電位頻度は、回復・未回復個体いずれにおいても、除去直後と比較して変化は見られなかったが、過分極性の活動頻度はどちらも有意に減少した。一方、反対側では、回復個体で脱分極性および過分極性のシナプス活動が正常状態に回復した。未回復個体では、脱・過分極性活動ともに変化を示さなかった。これらの結果は、1)平衡石除去後の眼柄姿勢の左右非対称は、左右NGIの止膜電位の差異ではなく、シナプス活動の差異に基づくこと、2)回復には、NGIのみならずその前シナス経路における活動変化が関与すること、を示唆する。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] Sakuraba,T.: "Motor pattern changes during central compensation of eyestalk posture after unilateral statolith removal in crayfish"Zoological Science. 17. 19-26 (2000)
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[Publications] Takashima,A.: "Electrophysiological and theoretical analysis of depolarization-dependent outward currents in the dendritic membrane of an identified nonspiking interneuron in crayfish"Journal of Computational Neuroscience. 9. 187-205 (2000)
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[Publications] Takahata,M.: "Information processing by nonspiking internearuons : passive and active properties of dendritic membrane determine synaptic integration"Biosystems. 58. 143-149 (2000)
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[Publications] Hikosaka,R.: "Quantitative analyses of anatomical and electrotonic structures of local spiking interneurons by three-dimensional morphometry in crayfish"Journal of Comparative Neurology. (In press). (2001)
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[Publications] 藤義博: "脳と行動の生物学"講談社サイエンティフィク. 158 (2000)