2001 Fiscal Year Annual Research Report
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11168202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高畑 雅一 北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10111147)
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Keywords | アメリカザリガニ / 微小脳システム / 平衡胞 / 姿勢制御 / 学習 / 同定ニューロン / ノンスパイキング介在ニューロン / 神経行動学 |
Research Abstract |
ザリガニで、片側平衡胞除去後に起こる眼柄姿勢の回復メカニズムを明らかにする目的で、昨年度は、眼柄補償運動系に属する脳内同定ノンスパイキング介在ニューロンであるNGI (Nonspiking Giant Interneuron)の樹状突起膜性質およびシナプス入力伝達特性がどのように変化するかを神経生理学的に調査した。その結果、1)回復に伴ってNGI樹状突起膜性質が変化するのみならず、2)NGIの前シナプス経路活動も大きく変化することを示唆している。本年度は、脳内に2本のガラス管微小電極を適用する同時細胞内記録・染色法により、NGIの前シナプス細胞の同定とその生理学的性質の検索を行った。これまでに得られた成功例はまだ少ないが、NGIに対して興奮性シナプス接続をするLニューロン(仮称)が数回にわたって確認された。単極型の細胞体は、細胞体を腹側非対後部団(VUPC, Tautz and Tautz,1984)にあり、細胞体からの突起は側方に伸びて、側方第一触覚神経交繊毛(LAN)に達し、そこで樹状突起をLAN内で水平・垂直方向に拡げると同時に前方に方向転換して,後脳横連合交繊毛付近から再び突起を分枝しながら前脳橋(PB)近くに到る。脳外への軸索投射はなく、スパイク発生型の局在細胞である。同一色素(Lucifer yellow)を用いたNGIとの同時染色は、単シナプス接続の可能性を示唆したが、L細胞への電流注入実験からは、単・複シナプスの並列接続が示唆された。磁場刺激法を用いた平衡胞刺激実験の結果,L細胞には,同側平衡胞から興奮性入力を受けるものと、抑制性入力を受けるものが見られたが、その形態的差異の定量的解析はまだなされていない。平衡胞入力は、歩脚活動により増強されることが確認された。L細胞クラスターが、姿勢回復でどのような活動変化を示すかは今後の課題である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hikosaka, R., Takahata, M.: "Quantitative analyses of anatomical and electrotonic structures of local spiking interneurons by three dimensional morphometry in crayfish"Journal of Comparative Neurology. 432. 269-284 (2001)
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[Publications] Yamane, S., Takahata, M.: "Experimental modification of stepping course in spontaneously initiated locomotor behavior in the crayfish Procambarus clarkii Girard"Journal of Comparative Physiology. (in press). (2002)