2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11168211
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下山 勲 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 教授 (60154332)
|
Keywords | 嗅覚情報処理系 / 定位行動 / 触角電位 / 神経修飾物質 / 小型移動ロボット / 工学的再構成 |
Research Abstract |
本研究の目的は,カイコガの嗅覚情報処理系を生物学・生理学的知見に基づいてモデル化し,ロボット・システムとして工学的に再構成することで、その評価を行うことである.対象とする昆虫の行動は、カイコガ(bombyx mori)の定位行動で,カイコガの雄が,雌の性フェロモン刺激によって雌の位置まで定位する行動である. 本研究では,嗅覚情報処理モデルとして触角電位モデルと定位行動発現モデルの2つを構築した.嗅覚受容細胞の構造とその受容器膜での化学的現象を考察することでフェロモン刺激強度と触角電位振幅の関係を導出した.これにより,触角電位の計測からフェロモン刺激強度(濃度)の推定ができることを示した.また,触角電位の時間波形に関して,3つのパラメータで実際の計測結果にフィッテング可能をモデルを構築した.これにより触角電位の時間波形テンプレートを利用した精度の高い触角電位の検出が可能になった.これらの関係が計測結果を実験によって確認し,構築した触角電位モデルの妥当性を示した. 前・中大脳にある両側のLAL-VPC領域の活動度が,神経修飾物質の持つ時定数によってゆっくり振動し、行動パターンの長期応答を形成するダイナミクス・モデルを構築した.フェロモン刺激によって与えられる非常に短い(数百ms)一過性の刺激によって,一連の定位行動パターンが生成されることをシミュレーションで確認した.さらにこのモデルを小型移動ロボットの行動制御モデルとして組み込み,実際のフェロモン場で定位行動パターンを発現させた.更にロボットはフェロモン源から15cm程度離れた場所から,フェロモン源まで定位して到達することに成功し,モデルの妥当性が確認された.統計的手法によってロボットの行動をカイコガの行動と比較解析して類似点,問題点を明らかにし,モデル評価を行った.
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Sumito Nagasawa, Ryohei Kanzaki, Isao Shimoyama: "Synthetic Investigation into an olfactory Sensorimotor System of a Silkworm Moth"Abstracts of the International Symposium Neural Organization and Plasticity in the Microbrain System. #20. 13-14 (2001)
-
[Publications] Sumito Nagasawa, Ryohei Kanzaki, Isao Shimoyama: "An Evaluation Method for Insect Sensorimotor Models Using an Insect-Size Mobile Robot"IEEE/RSJ International Conference on Intelligent Robots and Systems (IROS'01). (preceedings). (2001)
-
[Publications] 竹内昌治, 下山勲, 安藤規康, 神崎亮平: "スズメガの飛翔運動の計測"第8回アクアバイオメカニズム研究会講演会. (予稿集). (2001)
-
[Publications] 酒造正樹, 長澤純人, 神崎亮平, 下山勲: "カイコガの触角電位計測用テレメトリシステム"ロボティクス・メカトロニクス講演会'01. (予稿集). (2001)
-
[Publications] 菅哲朗, 西田幸司, 安田隆, 神崎亮平, 下山勲: "非拘束条件下における多種感覚刺激を用いた昆虫行動解析システム"ロボティクス・メカトロニクス講演会'01. (予稿集). (2001)
-
[Publications] 長澤純人, 酒造正樹, 神崎亮平, 下山勲: "小型ロボットによる昆虫の行動発現モデルの評価"第19回日本ロボット学会学術講演会. (予稿集). (2001)