2000 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエの味覚識別行動可塑性の行動遺伝学的研究
Project/Area Number |
11168221
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
谷村 禎一 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教授 (20142010)
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Keywords | ショウジョウバエ / 味覚 / 吻伸展反射 / キニーネ / 可塑性 / 糖受容 |
Research Abstract |
生物にとって外界の化学物質についての感覚情報は、食物の選択、個体間の認識などにおいて重要な役割を果たしている。なかでも、食物の選択において有害な化学物質を忌避することは、生存にとって極めて重要である。本研究は、キイロショウジョウバエを研究材料として用いて、摂食行動に関わる感覚情報を処理、統合する中枢神経系の可塑性を行動レベルから解析し、突然変異体を用いた分子遺伝学的アプローチを導入することを目的とする。キニーネによる糖応答の抑制効果を2つのレベルで確認した。ひとつは、糖受容細胞に対する抑制効果である。もうひとつは、キニーネが単独で何らかの受容器で受容され、糖に対する吻伸展反射を抑制する効果である。行動実験からフ節にキニーネを受容する感覚子が存在することが考えられたので、tip-recording法によって、キニーネ応答を調べた。その結果、不規則なスパイク系列からなる応答を記録することができた。この応答は、フ節の特定の感覚子から再現性をもって記録されたので、損傷的なインパルスではないと考えられた。行動レベルの実験からは、キニーネと糖の同時刺激によって、その後の糖に対する吻伸展反射がしばらく抑制されることを明らかにした。また、幼虫のキニーネに対する行動を調べた結果、幼虫もキニーネ単独の味を感じて忌避することがわかった。これらの研究に加えて、個々の味細胞を識別できるエンハンサートラップ系統を得るためのスクリーニングを行い、唇弁の感覚子の基部の1個に味細胞を標識できる系統を分離した。
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[Publications] Ishikawa,T.,Matsumoto,A.,Kato,T.Jr.,Togashi,S.,Ryo,H.,Ikenaga,M.,Todo,T.,Ueda,R.,Tanimura,T.: "DCRY is a Drosophila photoreceptor protein implicated in light entrainment of circadian rhythm."Genes to Cells. 4. 57-56 (1999)
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[Publications] Matsumoto,A.,Tomioka,K.,Chiba,Y.,Tanimura,T.: "tim^<rit> lengthens circadian period in a temperature dependent manner through suppression of PERIOD protein cycling and nuclear localization."Molecular and Cell Biology. 19. 4343-4354 (1999)
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[Publications] Miyazu,M.,Tanimura,T.,Sokabe,M.: "Cloning and characterization of a novel form of a cyclic nucleotide-gated channel from Drosophila melanogaster."Journal of Insect Molecular Biology. 9・(3). 283-292 (2000)
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[Publications] Ishimoto,H.,Matsumoto,A.,Tanimura,T.: "Molecular identification of a taste receptor gene for trehalose in Drosophila."Science. 289. 116-119 (2000)