2000 Fiscal Year Annual Research Report
軟体動物行動制御における末梢神経系ニューロンの機能解析
Project/Area Number |
11168225
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
黒川 信 東京都立大学, 理学研究科, 助教授 (50211222)
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Keywords | 軟体動物 / アメフラシ / 末梢神経系 / 神経集網 / 鰓運動 / 鰓神経節 / 腹部神経節 / 学習 |
Research Abstract |
1.我々がアメフラシの中枢神経節(腹部神経節)で発見したニューロン、Anti-L7は同神経節の鰓運動ニューロンL7のインパルス活動自身には影響せずにL7が惹起する鰓運動を末梢抑制するニューロンである。水管の刺激に対する鰓引き込め反射で知られている「慣れ」と「慣れの解除」ないし「感作」などの運動修飾機構におけるAnti-L7の寄与を明らかにするために、水管神経のくり返し刺激と側-腹縦連合神経の刺激とを組み合わせ、Anti-L7の活動の変化を調べた。水管神経への刺激は始めAnti-L7の活動抑制を引き起こしたが、「慣れ」を惹き起こす繰り返し刺激により、この抑制は徐々に起きなくなった。「慣れの解除」や「感作」を起こす側-腹縦連合神経刺激はAnti-L7の活動を数分にわたり停止させる強い抑制を惹起した。 2.鰓の神経系は腹部神経節と、鰓に内在する末梢神経系(鰓神経節とごく末梢の"神経集網"のニューロンを含む)から成る。腹部神経節や鰓神経節の同定ニューロンの神経回路の解析は行われていたが、本研究で初めて神経集網ニューロンの活動の記録に成功し、Anti-L7の活動により活性化される神経集網のニューロン活動を記録した。これらの結果から、鰓運動の修飾にAnti-L7が末梢ニューロンを介して寄与している可能性が示唆された。鰓運動は行動修飾機構研究のモデル材料として研究が進められているが、従来の研究の殆どは中枢、腹部神経節内のニューロン回路についてなされていた。鰓運動の修飾において中枢運動ニューロンの出力だけでは説明不十分であった実際の行動変化を、今回提示したAnti-L7と末梢ニューロンを含めた回路で説明する事が可能となる。
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[Publications] OHSUGA,Kenji: "Mosaic arrangement of SCPB-, FMRFamide-, and histamine-like immunoreactive sensory hair cells in the atatocyst of the gastropod mollusc Pleurobranchaea japonica."Cell and Tissue Reseach. 300. 165-172 (2000)
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[Publications] CHIKEN,Satomi: "Amine acid-induced reflexes and their neural pathways in an opisthobranch molluisc Pleurobranchaea japonica."Zoological Science. (印刷中). (2001)