2000 Fiscal Year Annual Research Report
記憶・学習・経験による個体識別機構と微小脳の可塑性
Project/Area Number |
11168230
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐々木 正己 玉川大学, 農学部, 教授 (40096061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 純 玉川大学, 学術研究所, 助教授 (30256002)
小野 正人 玉川大学, 農学部, 助教授 (70204253)
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Keywords | ミツバチ / マルハナバチ / スズメバチ / キノコ体 / 経験,脳容積と学習 / サーカディアンリズム |
Research Abstract |
セイヨウミツバチ働き蜂の脳,とくにキノコ体の加齢に伴う構造変化を解析するとともに(定性解析については福岡大学岩崎雅行氏らとの共同研究),コロニー内で正常に加齢を重ね,種々の刺激・経験を積んだハチと,制限環境下でそれらが制限されたハチとの間で,脳内構造の占有容積の違いを比較検討した.その結果,触角葉およびキノコ体内のいくつかの部位で,加齢に伴う顕著な定量的変化が認められた. 幼若ホルモンとの関係,代謝アッセイについては,今年度は具体的な成果を得るまでに至らなかったが,対スズメバチ防戦行動の解析では,サーモグラフィーを用いて行い,個体の記憶と超個体としてのコロニーレベルの記憶の関係の一部を明らかにすることができた. 一方マルハルバチを材料に,体重差で10倍近くに及ぶ体サイズ多型を示す雌成虫の脳容積と学習能力の関係を解析した.またマルハナバチ活動リズムの極地(白夜またはそれに近い長日条件への)適応メカニズムについても大きな成果が得られた.これは一定閾値以上の強度の光が複眼にあたることにより,サーカディアンリズムのマスキングが起こるというもので,セイヨウオオマルハナバチのような寒地分布種では見られるが,トラマルハナバチのような南方系の種では見られないことがわかった.
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