2000 Fiscal Year Annual Research Report
高分子量タンパク質複合体の構造解析への多波長異常分散法の利用
Project/Area Number |
11169202
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中川 敦史 大阪大学, 蛋白質研究所, 助教授 (20188890)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山下 栄樹 大阪大学, 蛋白質研究所, 助手 (00294132)
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Keywords | 放射光 / 多波長異常分散法 / 生体超分子複合体 / X線結晶構造解析 / 構造生物 / タンパク質 |
Research Abstract |
分子量の大きな生体超分子複合体の構造解析を多波長異常分散法により行うためには,より精度の高い回折強度データを得る必要がある.本研究では,SPring-8の生体超分子ビームライン(BL44XU)において,多波長異常分散法を高分子量タンパク質複合体に適用するための高精度な回折強度データ収集システムの開発および多波長異常分散法のための波長選択システムの立ち上げを行なった. 高精度回折強度データ収集システムの開発として,今年度はCCD検出器(オックスフォード社PX210)を中心とした生体超分子複合体を含むタンパク質結晶のデータ収集系の整備を進めた.本システムを用いることにより,通常のタンパク質結晶であれば30分〜1時間程度で1セットのデータ収集が行なえるようになった.また,その精度を確認するために,分子量16,300のリボソームタンパク質L13のセレノメチオニン置換体の回折強度データをセレンの吸収端を含む3波長で測定し,多波長異常分散法により,1.6Å分解能の良質の電子密度図を得ることに成功した. 多波長異常分散法を適用するにあたって,波長較正を正確に行なうことが重要であるが, PIN photodiodeを用いた蛍光X線測定システムの立ち上げを行い,これまでに,セレン,水銀,白金,亜鉛といった原子種を含むタンパク質結晶を用いて,いずれも吸収端波長の決定に十分なデータを得ることに成功した. さらに,より高精度な回折強度データ収集を目指して,高速シャッターの導入と微小振動写真法の開発を進めている
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