1999 Fiscal Year Annual Research Report
大腸菌の膜結合性コハク酸ユビキノン酸化還元酵素複合体のX線構造解析
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11169211
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原田 繁春 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教授 (80156504)
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Keywords | コハク酸ユビキノン酸化還元酵素複合体 / 膜蛋白質の結晶化 / X線結晶構造解析 / 電子伝達 / 構造生物学 / 膜蛋白質の可溶化 |
Research Abstract |
大腸菌の膜結合性コハク酸ユビキノン酸化還元酵素複合体(SDH)の立体構造をX線結晶構造解析で解明し、その構造と機能の関係を明らかにするためにSDHの精製と結晶化を行った。結晶化に使うサンプルは、大量発現系を構築した大腸菌を培養、その内膜中に存在するSDHを界面活性剤スクロースモノラウレートで可溶化し、ルブロール存在下でカラム精製を行い調製した。このようにして得たSDHのリン脂質の含量を分析した結果、SDHが1分当たり数個のリン脂質が結合していた。これらは、おそらくSDHの分子構造や活性を保持するために必要なリン脂質で、結晶化を妨げるものではないと判断している。そこで、様々な結晶化条件を探索した結果、現在のところ、ポリエチレングリコールを沈澱剤とし、pH8付近で結晶ができることが分かった。この結晶は、海面活性剤としてルブロールの存在下で得られたものであるが、スクロースモノラウレートを添加すると結晶形が変わる。しかし、これらの結晶はX線を照射しても回折を示さないことが多く、また、示してもせいぜい6A分解能程度である。立体構造を解明するためには、少なくとも3A分解能は必要なので、SDHの精製や結晶化に使う界面活性剤の種類を変えたり、添加物を加えて結晶の分解能の向上を計っている。なかでも、可溶化の段階からコハク酸を共存させることによって、SDHのlpサブユニットの安定性を向上できることがわかった。このサブユニットはプロテアーゼによる加水分解を受けやすく、それが結晶の質に影響を及ぼしていると考えられる。そこで、菌体の粉砕や可溶化の際に種々のプロテアーゼ阻害剤のカクテルを加えることによってlpサブユニット保護を考えている。今後、そのような試みを行うことで結晶の質の向上を目指す。
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