1999 Fiscal Year Annual Research Report
溶液X線散乱プロフィルの計算による複合体型蛋白質の溶液構造の解析
Project/Area Number |
11169216
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
曽田 邦嗣 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (10011686)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城戸 俊一 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (80195320)
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Keywords | 複合体型蛋白質 / シャペロニン / GroEL / 大局構造 / 溶液X線散乱 / 平均2乗半径 |
Research Abstract |
本年度の目標は,複合体型蛋白質であるシャペロニンGroELについて,分光学的測定からは取得困難な大局構造情報,特に溶液中と結晶中で構造がどのように異なるか,溶液条件によってその構造はどのように変化するかなどを調べるために必要な解析法の開発である。具体的には,ギニエ解析法の拡張を含む溶液X線散乱プロフィルの高速計算法と,分子モデリング法による非天然構造解析法を組み合わせた解析法を開発した。 複合体型蛋白質の天然構造や,小さな蛋白質でも解鎖状態の構造は,40Å以上の平均2乗半径Rsqを持つために,小角領域のX線散乱プロフィルを高精度で測定することが困難な場合が多い。この点を補完するために,従来のギニエ解析法を拡張すると共に,分子モデリング法を組み合わせる解析法を考案した。拡張ギニエ解析法を天然状態のGroELに適用することにより,これまでは困難であったGroElのRsq値を精度良く推定できることが確かめられた。GroElの結晶構造解析では,原子座標を決定できない部分鎖があることが知られているが,この部分に解鎖構造を仮定して生成させた構造モデルについて得た予測プロフィルでは,高角部で実測プロフィルとの一致が改善されることが見出された。解鎖状態は天然状態より大きなRsq値を持つが,これに分子モデリング法を併用することにより,その予測精度が大きく向上されることが確認された。 更に以上の手法を用いて,柊等によるGroELの塩酸グアニジン(GdHCl)変性の実測プロフィルを解析した結果,ヌクレオチドの添加によってGroEl分子の安定性が低下すること,また高濃度のGdHCl存在下での変性状態は,完全解鎖状態で良く近似できることを見出した。以上の結果は,我々が開発してきた手法が,巨大蛋白質の溶液構造を研究する上で,極めて有効であることを実証するものと考えられる。
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[Publications] Kamatari Y. Q.他: "The compact and expanded denatured conformations of apomyoglolin in the methanol-water solvent"Protein Science. 8. 873-882 (1999)
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[Publications] Soda, K.: "Encycloedia of Molecular Biology, vol.4"Creighton, T. ed. Wiley. 2456(4) (1999)
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[Publications] Soda, K.: "Old and New Views of Protein Folding"Kuwajima, K. ed. Elsevier. 318(10) (1999)