1999 Fiscal Year Annual Research Report
タバコネクロシスウイルスの高分解能立体構造と粒子形成機構の解析
Project/Area Number |
11169223
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 佳充 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00314360)
佐伯 和彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40201511)
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Keywords | タバコネクロシスウイルス / X線結晶解析 / 立体構造 / コート蛋白の一次構造 / 蛋白間相互作用 / アセンブリー機構 |
Research Abstract |
タバコネクロシスウイルス(TMV)は一本鎖RNA(1.3x10^6Da)をゲノムとして持つ球状ウイルスであり、アカザ・ナス・マメ・ユリ科などの植物に感染し、壊疸症状を起こす。TNVでは、276アミノ酸残基からなるコート蛋白が180個集合し、いわゆるT=3の正20面体対称を持つキャプシドを形成している。このサブユニット蛋白は一次構造上一種類であるが、3種類(A,B,C)の立体構造をとることによって、少ない遺伝情報で必要なサイズのウイルス殻を形成している。本ウイルス粒子の立体構造を2.25Å分解能X線結晶解析により決定すると共に、サブユニット蛋白の一次構造をも決定した。サブユニット蛋白はゼリーロールバレル構造をコアとして持っている。A・B・Cの3つのサブユニットのコアの3次構造は互いによく似ているが、Cサブユニットは他のサブユニットよりN末端側に約30残基多くオーダーしている。この部分(アーム)が3つのサブユニット間で最も大きく異なる点で、このアーム領域がサブユニット蛋白間の相互作用に多様性をもたらしている。アームは3回(疑似6回)軸周りでβ-annulus構造を形成しており、5回軸周りでは乱れた構造をとっている。このアームのさらにN末端側には、塩基性アミノ酸残基が非常に多い。この領域は粒子内部にあり、また乱れた構造をとっていることから、RNAと相互作用していると考えられる。TNVの他のstrainのサブユニット蛋白の一次構造と比較すると、コアやアームの部分ではアミノ酸残基がよく保存されているのに対し、この乱れた構造をとっているN末端領域ではほとんど保存されていない。特定の立体構造をとる必要が無いことが、進化の過程でこの部分に他の部分より多くのアミノ酸置換が起こったと考えられる。また一次および立体構造の解析から、サブユニット間に存在しているCa^<2+>イオンは、全てのstrainで保存されていることが示された。
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