2000 Fiscal Year Annual Research Report
タバコネクロシスウイルスの高分解能立体構造と粒子形成機構の解析
Project/Area Number |
11169223
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福山 恵一 大阪大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80032283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 佳充 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00314360)
佐伯 和彦 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40201511)
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Keywords | タバコネクロシスウイルス / ウイルスの立体構造 / 粒子の再機成 / 蛋白質間相互作用 / コート蛋白の限定分解 |
Research Abstract |
タバコネクロシスウイルス(TNV)は一本鎖RNAをゲノムとして持つ球状ウイルスであり、アカザ・ナス・マメ・ユリ科などの植物に感染し、壊疸症状を起こす。TNVでは、276アミノ酸残基からなるコート蛋白が180個集合し、いわゆるT=3の正20面体対称を持つキャプシドを形成している。このサブユニット蛋白は一次構造上一種類であるが、3種類(A,B,C)の立体構造をとることによって、少ない遺伝情報で必要なサイズのウイルス殻を形成している。TNVのサブユニット蛋白の一次構造を決定した。TNV粒子の高分解能立体構造から、A・B・Cの3つのサブユニットのコアはゼリーロールバレルという共通の3次構造をとっているが、Cサブユニットは他のサブユニットよりN末端側に約30残基多くオーダーしていることが明らかになった。この部分(アーム)がサブユニット蛋白間の相互作用に多様性をもたらし、核酸が十分入りうる容積を作り出している仕組みといえる。このアームのさらにN末端側には、塩基性アミノ酸残基が非常に多く、粒子内部に位置していることからRNAと相互作用していると考えられる。このようにN末端の塩基性アミノ酸残基に富む領域やアームの部分は、それぞれRNAや蛋白との相互作用にきわめて重要であることから、TNV粒子の再構成実験を行い、次のような結果を得た。 1)塩濃度を上げるとTNV粒子は崩壊し、透析で脱塩すると元と区別がつかない粒子が再構成される。 2)TNV粒子を解離後、RNAを除去すると、粒子が再構成されにくい。 3)TNV粒子をEDTA処理後プロテアーゼで処理するとN末からアーム部分までを限定的に除去できた。この蛋白から粒子を再構成できるが、その径は元の粒子の径よりも小さかった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Yutaka Oda: "Crystal Structure of Tobacco Necrasis Virus at 2.25Å Resolution"Journal of Molecular Biology. 300. 153-169 (2000)
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[Publications] Kazuhiko Saefei: "Primary Structure and Phylogenetic Analysis of the Coat Protein of a Toyama Isolate of Tobacco Necrosis Virus"Biosci.Biotechnol.Biochem.. 65・3. 719-724 (2001)