2002 Fiscal Year Annual Research Report
原子レベルの立体構造に基づくチトクロム酸化酵素の動作機構の解明
Project/Area Number |
11169233
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Research Institution | Himeji Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 恭子 (新澤 恭子) 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 助手 (70206316)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 信也 姫路工業大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40068119)
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Keywords | チトクロム酸化酵素 / X線結晶構造解析 / 反応中間体 |
Research Abstract |
チトクロム酸化酵素はミトコンドリア内膜呼吸鎖の末端酸化酵素で分子状酸素を水にまで還元するとともに膜の内側から外側へとプロトンの能動輸送を行う。この酵素の機能の解明のためには立体構造に関する情報が不可欠であるため、我々のグループではX練結晶構造解析を進めている。本酵素を真の意味で理解するためには酸化型だけでなく還元状態や配位子又は、阻害剤結合状態の異なる種々の酵素の水素の座標を含めた詳細な構造を明らかにする必要がある。本研究では結晶化条件、結晶の凍結方法等の改良を行うことにより酸化型では1.8Å分解能での構造が明らかにした。又、この酸化型結晶を各種溶液に浸せきさせることで還元状態や配位子結合状態の異なる結晶を低温捕捉した。これまでに、還元型1.9Å,CO結合型2.1Å,NO結合型2.1Å,CN結合型2.1Å,P型中間体1.86Å、F型中間体2.0Å分解能でのX線結晶構造を各々決定することに成功した。又、結晶用の分光器を作製したことによりこれらの結晶が各々の状態であることを直接結晶の吸収スペクトルを測定することによって確かめられるようになった。このようにまだ水素の位置を決定できるほどに精度は上がっていないものの、かなり詳細に構造の比較検討ができるようになった。酸化還元に伴って大きく変化することが認められたアスパラギン酸51のカルボキシル基がヘムaのプロピオン酸やアルギニン38を介して、マトリックス側から細胞質側へとプロトンを能動輸送するのに重要な働きをすることが新たに確かめられた。また、このカルボキシル基の変化はFTIRで我々の結晶標品を用いた得られた結果ともよく一致した。
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[Publications] Kim: "Presence of the heme-oxo intermediate in oxygenation of carbon monoxide by cytochrome c oxidase revealed by resonance Raman spectroscopy"J.Am.Chem.Soc.. 123. 757-758 (2001)
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[Publications] Odoko M.: "Optimization of the constant of methionine S^δ-C^ε bond for X-PLOR refinement of protein structure"J.Appl.Cryst.. 34. 80-81 (2001)
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[Publications] Lee S.J.: "Intermonomer interactions in dimmer of bovine heart cytochrome c oxidase"Acta Cryst.. D57. 941-947 (2001)
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[Publications] S.Yoshikawa: "Hand bock of Copper Pharmacology and Toxicology"Humana Press Inc. Totowa NJ. 21 (2002)