1999 Fiscal Year Annual Research Report
F_1-ATPaseの回転触媒機構にせまる構造解析
Project/Area Number |
11169242
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (A)
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
白木原 康雄 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教授 (20150287)
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Keywords | F_1-ATPase / ATP合成酵素 / 結晶化 / α3β3γ複合体 / 結晶構造 / 回転触媒機構 |
Research Abstract |
F1ATPase(サブユニット構成α3β3γδε、分子量38万)は、呼吸鎖が形成する、膜を隔てた水素イオン濃度勾配をATPに交換するATP合成酵素の可溶性部分である。γサブユニットのα3β3部分に対する回転により巧妙に制御されるこの酵素のユニークな回転触媒機構を構造の側面から理解するために、F1とどぼ同じような酵素学的性質をもつ。α3β3γ複合体について、種々のヌクレオチドリガンド結合状態での構造を明らかにし、小さいサブユニットγ(回転子)と主要β、αサブユニットとの相互作用の様式を明らかにしようとしている。このため、今年度はα3β3γ複合体の結晶化条件の改良を行い、得られた結晶を用いてSPring8でデータ収集を行った。 α3β3γ複合体の結晶の改善については、今年度更に、(1)熱処理、硫安分画などの全処理が結晶化に大きな正の効果をもたらすこと、(2)非イオン性界面活性化剤の導入により従来の多結晶的形ではなく、板状もしくは棒状の形をした大きな結晶が得られること、の二点を見いだした。これらの結晶使って、実験室のX線源で初めて約20Åの回折模様を記録できた。また上の基本的な改良の上に、多くの結晶化実験を行い、ヌクレオチド非結合型の結晶、ATP,ADP,AMPPNP,ATPγSなどのヌクレオチド結合型に関しては、Mg濃度、ヌクレオチド濃度を変えて、様々なリガンド結合状態での結晶を得ることができた。 SPring8でデータ収集を行うためには、結晶を液体窒素温度まで冷却できる溶液条件をさがさねばならない。上に述べた様々な条件で得られた結晶はいずれも母液の置き換えが不可能であることがわかり、冷却できる溶液条件下での結晶成長条件の探索を行った。SPring8でのデータ収集は、大きい結晶は10Åの回折模様を与えるのが結晶格子に乱れがあり、小さい結晶は結晶格子に乱れがないが20Åの回折模様与えすぎず、更に冷却の検討が必要である。
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Research Products
(2 results)