2001 Fiscal Year Annual Research Report
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11169242
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Research Institution | National Institute of Genetics |
Principal Investigator |
白木原 康雄 国立遺伝学研究所, 構造遺伝学研究センター, 助教授 (20150287)
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Keywords | F1-ATPase / ATP合成酵素 / 結晶化 / α3β3γ複合体 / α3β3γε複合体 / 結晶構造 |
Research Abstract |
F1ATPase(サブユニット構成α3β3γδε、分子量38万)は,呼吸鎖が形成する、膜を隔てた水素イオンの濃度勾配を ATP に変換する ATP 合成酵素の可溶性部分である.γサブユニットのα3β3部分に対する回転により巧妙に制御されるこの酵素の触媒機構を構造の側面から理解するため、F1 のα3β3γ、α3β3γε部分複合体の種々のリガンド結合状態の構造決定を目指し、今年度は主としてα3β3γε複合体の結晶化、回折実験を行った. α3β3γε複合体については、昨年度行った 0.5mMADP 存在下でできた結晶の解析(4.5A分解能)の経験をもとに、今年は Mg/ヌクレオチド非存在下でできた結晶構造を解析した.よりよい結晶凍結法を見出した結果 SPring8/阪大蛋白研ビームライン(BL44XU)で 3.8A分解能データを得た.分解能の向上により結晶格子も I4122, a=B=233.3A, c=305.3A と確定した.結合ヌクレオチドの定量と電子密度分布から、得られた結晶中の分子は、1個 ADP を結合していると結論した.標品中の1個 ADP を結合している分子種が選択的に結晶化したと考えられる. ヌクレオチド非結合型α3β3複合体構造を初期モデルとした分子置換法の解析の結果、すべてのサブユニットの構造が得られた.ADP はヌクレオチド結合型の構造をとっているβサブユニットに結合していた.他の2つのヌクレオチド非結合型βサブユニットのうち、従来の2個ヌクレオチド結合型 F1 構造で最も強くヌクレオチドが結合しているβサブユニットと等価な位置にあるβサブユニットは、典型的なヌクレオチド非結合型の構造をしていた.この構造の違いにより、1個 ADP 結合型のα3β3γε構造ではεサブユニットのC末のヘリックスがα3β3下部に挿入されることが可能になり、これがεサブユニットの位置とコンホメーションが従来のものとは大きく異なる原因となったと考えられる.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 白木原 康雄: "単一ヌクレオチド結合型 F1-ATPaseα3β3γε複合体の構造"生物物理. 41, s1. s36 (2001)
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[Publications] Yasuo Shirakihara: "X-ray Crystal Analsysis of α3β3γε sub-complex of F1-ATPase from Enterococcus hirae"SPring-8 User Experiment Report. NO.6. 126 (2001)
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[Publications] Ichiro Yamato: "Structure Dettermination of sodium-translocatingATPase from a Thermophilic bacterium"SPring-8 User Experiment Report. NO.6. 146 (2001)
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[Publications] Masayoshi Nakasako: "Evaluation of X-radiation damage of protein crystals at 30K"SPring-8 User Experiment Report. NO.6. 148 (2001)