2000 Fiscal Year Annual Research Report
バキュロウイルス多重感染系を用いた翻訳装置超高分子複合体の再構成
Project/Area Number |
11169243
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Research Institution | Japanese Foundation For Cancer Research |
Principal Investigator |
芝 清隆 (財)癌研究会, 癌研究所・細胞生物部, 主任研究員 (40196415)
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Keywords | 翻訳 / ヒト / アミノアシルtRNA合成酵素 / 超高分子複合体 / 付加ドメイン / バキュロウイルス / 共発現 / 再構成系 |
Research Abstract |
高等真核生物の細胞質では、8つのアミノアシルtRNA合成酵素と3つの非アミノアシルtRNA合成酵素タンパク質の、合成11のタンパク質が超高分子複合体を形成している。この複合体の構造及び機能を解析するために、多重感染が可能なバキュロウイルス発現系を利用した、ヒトアミノアシルtRNA合成酵素超高分子複合体の再構成系を確立した。ヒトのARS超高分子複合体を構成する8つのARS(IleRS,LeuRS,MetRS,AspRS,GluProRS,ArgRS,GlnRS,LysRS)と3つの非ARS因子(pro-EMAPII,JTV1,p18)、11の遺伝子の全長を、昆虫細胞内で強い転写活性をもつPolhプロモーター下にクローニングした組み換え体バキュロウイルスの作成をした。また、それぞれのARSがもつ、高等真核生物に特有の付加ドメインを欠失させた種々の変異組み換え体のシリーズも含め、合計29種の発現ベクターを作製した。また、IleRS、LysRS、ProRS、pro-EMAPII,JTV1,p18に対するポリクローナル抗体も作成し、免疫沈降実験での同定、その他の実験に利用できる環境を準備した。IleRSと10種のコンポーネントをそれぞれ共発現させて、相互作用する因子を捜したところ、LeuRSとGluProRSのみが相互作用した。また、これら3者の共発現は3者複合体を形成した。より詳細な解析から、IleRSとGluProRSは、それぞれC末と融合点の付加ドメインを用いて相互作用すること、IleRSとLeuRS、それぞれのC末付加ドメインを用いて相互作用すること、IleRSとLeuRSとの相互作用は観察されないことがわかった。複合体の形成には多細胞真核生物に特有の付加ドメインが大きな役割を果たしていることがわかった。
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