1999 Fiscal Year Annual Research Report
皮質ニューロン内遺伝子発現の単一分子レベル計測開発
Project/Area Number |
11170201
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
金城 政孝 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (70177971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 保友 北海道大学, 電子科学研究所, 助手 (80237883)
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Keywords | c-fos / PCR / 蛍光測定 / 蛍光相関分光法 / 遺伝子発現 / 単一分子検出 / 低酸素 / 近赤外分光法 |
Research Abstract |
本研究は光学手法を用いることで、生きたまま活動している脳表面における各単一細胞の遺伝子発現の過程、特に低酸素・低エネルギー状態で発現するc-fos mRNAを検出するための手法の開発と転写因子として働くc-fosの発現機構の解明を行うことを目的としている。 我々はそのために、2つの方法を採用した。一つはよく用いられているPCRを中心とした通常の生化学的手法であり、もう一つは、単一分子検出法の一つである蛍光相関分光法(Fluorescence Correlation Spectroscopy)である。 これまでに、ラット脳内の低酸素状態を近赤外分光法によりモニターしながら、様々な条件で脳を切り出し、定量的PCR法を用いて低酸素状態でc-fos mRNAの誘導が起こることが明らかにした。一方FCSを用いて、微小領域での特定遺伝子の発現を検出できる単一分子レベルハイブリダイセーションという手法を開発してきた。この手法の特徴の一つに光学顕微鏡の持つ空間分解能がある。顕微鏡の利用できる環境であればどこでも、従って単一細胞レベルでの遺伝子の発現をしかも細胞内の特定の部位を特定しながら測定できる可能性が示唆される。この方法を脳表面への測定へ応用するために我々は成立顕微鏡タイプのFCSを開発中である。開発に当たって現在の問題点は検出器を顕微鏡本体上部に設置すると、機械的強度が保てなくなる点である。これを改善するために検出器と顕微鏡の間を光ファイバーを用いて結ぶことにした。光ファイバーを用いることによる蛍光発光の検出感度の低下は免れないが、成立顕微鏡を利用できることによる脳表面の観察と、機械的安定性は向上するものと期待される。 これら二つの手法を組み合わせて、こんど、低酸素状態を近赤外分光法でモニターし、その時のc-fos mRNAの発現量をFCSを用いて検出することを試みる予定である。
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[Publications] Pack, C-G: "Effect of electrostatic interaction on the binding of charged substrate to GroEL studies by high sensitive fluorescence correlation spectroscopy"Biochem.Biophysi.Res.Comm.. 267. 300-304 (2000)
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[Publications] Nomura Y.: "c-fos expression and redox state of Cytochrome oxidase of rat brain in hypoxia"Neuro Report. 11. 301-304 (2000)
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[Publications] Takakuwa T.: "Fluorescence carrelation spectroscopy analysis of the hydrophobic interaction of protein 4.1 with phosphatidyl serine"Biophysical Chem.. 82. 149-155 (1999)
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[Publications] 金城政孝: "蛍光相関分光法による一分子検出"蛋白核酸酵素. 44. 1431-1438 (1999)
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[Publications] 金城政孝: "蛍光相関分光法によるDNAの検出"精密工学. 65. 175-180 (1999)
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[Publications] 西村吾郎: "蛍光相関法による単一分子レベルの酵素反応解析"生物物理. 39. 81-85 (1999)