1999 Fiscal Year Annual Research Report
周波数標識された定常誘発脳磁界のクロスダイナミクスに基づく意識遷移の定量的研究
Project/Area Number |
11170202
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小林 哲生 北海道大学, 電子科学研究所, 助教授 (40175336)
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Keywords | 定常誘発応答 / 脳磁界 / 意識 / ダイナミクス / 脳 / VEF / AEF / SEF |
Research Abstract |
脳の高次機能のなかでも意識やアウェアネスといった機能に関わる脳内プロセスはシステムとしてのダイナミクスの解明により真の理解が得られることが期待できる。現在利用できる脳機能の非信襲的計測法のうち脳磁界計測(MEG)は時間分解能が高く、このダイナミクスを調べるのに適した手法である。本研究では特定の周波数で標識した感覚刺激により誘発される定常誘発脳磁界を自発性の脳磁界から分離・抽出し、システムとして捉えた脳のマクロなダイナミクスを研究する新たな手法を確立することを目的とした。 本年度は前頭型MEGシステムによる複数モダリティ定常誘発脳磁界の計測に主眼を置いて研究を行った。本研究では視覚、聴覚、体性感覚という複数のモダリティによる刺激を異なる周波数で標識して同時呈示し、各刺激による定常誘発応答の重畳された脳磁界を68チャンネルの全頭型MEGシステム(CTF Systems Inc.)により計測した。これに先立ち各刺激の呈示周波数を変化させ、定常誘発応答の振幅と位相の周波数を調べ、各刺激に最適でかつクロスオーバーのない標識周波数を決定した。さらに標識した周波数におけるスペクトルの空間パターンにより同時呈示した複数モダリティに対応する皮質神経活動が捉えられていることを確認した。 従来、過渡的誘発応答と同様、定常誘発応答も繰り返し試行で得られる原データを加算平均することにより得ていた。しかし加算平均過程において時々刻々変化する脳内プロセスのダイナミクスは消失してしまう。そこで本研究では単一試行の原データから定常誘発応答を分離・抽出する手法の検討を行い主成分分析と主成分得点の非定常解析の有効性を示した。
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[Publications] Tetsuo Kobayashi: "Principal component elemination method for the improvement of S/N in evoked neuromagnetic field measurements"IEEE Trans. on Biomedical Engineering. Vol.46・No.8. 951-958 (1999)
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[Publications] Tetsuo Kobayashi: "Principal components representing oscillatory MEG activities over the whole cortex"Proc. of the 11th International Conf. on Biomagnetism. Vol.11. 361-364 (1999)
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[Publications] Tetsuo Kobayashi: "New aspects of human oscillatory MEG activities revealed by nonstationary analysis of principal compponents"Proc. of the third Int. Workshop on Biosignal Interpretation. Vol.3. 358-361 (1999)
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[Publications] Tetsuo Kobayashi: "Nonstationary analysis of human coherent oscillatory MEG activities over the whole cortex"Proc. of 1999 Int. Symp. on Nonlinear Therory and its Applications. Vol.1. 57-60 (1999)
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[Publications] 丸山雅紀: "眼球運動変化に基づく両眼視野闘争時における知覚交替の定量的解析"電子情報通信学会技術研究報告書. MBE99-30. 47-54 (1999)
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[Publications] Tetsuo Kobayashi: "Reactivity of human cortical oscillations reflecting conscious perception in binocular rivalry"Proc. of Toward a Science of Consciousness. (印刷中).