1999 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類の時計遺伝子Per1の転写日周振動が細胞と個体の概日リズム形成に果たす機能
Project/Area Number |
11170216
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
程 肇 東京大学, 医科学研究所, 助手 (00242115)
|
Keywords | 時計遺伝子 / Period1 / 視交差上核 / スライス培養 |
Research Abstract |
マウスの時計遺伝子であるperiod1(Per1)のmRNA量は、概日時計中枢である視交叉上核(SCN)内で、明期で高く暗期に低い自律的な日周変動を示し、暗期中の光照射により極めて速やかに一過的に誘導される。また、その発現は調べられた幾つかの末梢組織において、SCNより約6-12時間遅れた位相で振動する。Per1の転写制御機構の解析を進めるために、ヒトとマウスPer1遺伝子の全構造を決定した。両遺伝子の転写開始点上流には、良く保存された6つの領域が存在し、この領域とClockやBmal1等の転写因子との相互作用が転写誘導に寄与することを確認した。次に、Per1プロモータ領域とluciferase(luc)の融合遺伝子をリポータして用いたPer1::luc導入マウス及びラットを作製した。そして、培養組織のluciferase(luc)活性を長時間連続測定するシングル型発光計測装置を作製することにより、視交叉上核と末梢組織細胞のPer1発現モニター系を構築した。実際、Per1::lucマウスのSCN及び各種末梢組織の培養細胞では、それぞれの時計計時位相を忠実に反映したIuc発現の日周振動を示した。また、SCNスライス培養系では最長1ヶ月以上も自律的なPer1発現日周リズムが継続すること、一方SCN以外での末梢培養組織では数日間でその日周リズムが減衰することを明らかにした。即ち、時計細胞においてのみPer1発現の自律的な日周振動は継続し、末梢組織のPer1発現振動はSCNからの神経連絡または同調因子分泌により維持されていることが示された。以上の結果から、Per1発現量を指標とするモニター系を用いて、中枢と末梢組織それぞれの細胞レベルでの計時情報を測定するシステムを構築した。
|
-
[Publications] Akiyama, M.: "Inhibition of Light- or Glutamate-Induced mPr1 Expression Represses the Phase Shifts into the Mouse Circadian Locomoter Suprachiasmatic Firing Rhythms"J. Neuroscience. 19. 1115-1121 (1999)
-
[Publications] Hida, A.: "The human and mouse Period1 genes : five well-conserved E-boxed additively contribute to the enhancement of mPer1 transcription"Genomics. (in press). (2000)
-
[Publications] Yamazaki, S.: "Central and Peripheral Circadian Oscillators in Transgenic Rats"Science. (in press). (2000)