1999 Fiscal Year Annual Research Report
GTP結合蛋白質H-Rasによる海馬長期増強の制御の研究
Project/Area Number |
11170217
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
饗場 篤 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20271116)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中尾 和貴 東京大学, 医科学研究所, 寄付研究部門教員 (20217657)
中村 健司 東京大学, 医科学研究所, 助手 (90253533)
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Keywords | H-Ras蛋白質 / NMDA受容体 / チロシンリン酸化 / 海馬 / 長期増強 / ノックアウトマウス / ERK |
Research Abstract |
H-RasによるNMDA受容体応答の制御について検討した。 H-Rasノックアウトマウスでは海馬でのNMDA受容体応答の特異的な活性化、および長期増強の増大が生じている。この原因について海馬から抽出したタンパク質を用い、生化学的な解析を行った。その結果、H-rasノックアウトマウスではNMDA受容体のタンパク質量、サブユニット構成等には変化がないが、NR2A、NR2Bサブユニットのチロシン残基のリン酸化の増加が生じていた。従って、ノックアウトマウスではNMDA受容体のリン酸化の亢進によりNMDA受容体応答の特異的な活性化が生じていると考えられた。このことより、正常神経細胞においてH-RasはNMDA受容体の活性を制御し、神経可塑性、神経細胞死を制御していることが示唆された。このH-rasノックアウトマウスで新たに見いだされたH-RasとNMDA受容体リン酸化をつなぐ、細胞内情報伝達系について検討した。まず、海馬スライスおよび海馬培養細胞をNMDA刺激すると、ERKの活性化と同時にNMDA受容体NR2Bサブユニットのチロシン残基の脱リン酸化が生じることを明らかとした。このNMDA受容体の脱リン酸化はERKのリン酸化酵素MEKの阻害剤UO126の添加によっても阻害されず、ERKの活性とは無関係であることを明らかにした。また、Rasを介しERKを活性化すると考えられるbasicFGFの添加によって、ERKの活性化は生じるが、NMDA受容体の脱リン酸化は生じないことからもERKの活性化とNMDA受容体の脱リン酸は直接関係がないことが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Sugiyama, T., et al.: "Localization of Phospholipase Cbeta isozymes in the moue cerebellum"Biochem. Biophys. Res. Commum.. 265. 473-478 (1999)
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[Publications] Manage, T., et al.: "Regulation of Long-Term Potentiation by H-Ras through NMDA Receptor Phosphorylation"J. Neurosci. 20. 印刷中 (2000)