1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11170222
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松島 俊也 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40190459)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前多 敬一郎 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (30181580)
|
Keywords | 脳 / 行動 / 記憶 / インプリンティング / 基底核 / シナプス / 長期増強 / 鳥 |
Research Abstract |
雛鳥の視覚性認知とその脳内過程を明らかにするために、本年度は以下の解析を行った。 (1)雛鳥における鳥の視覚的認知に開する行動学的解析 雛鳥を集団から一羽引き離すと、特徴的なdistress callを高頻度で発声する。このとき他の雛鳥を一羽加えると、distress callは可逆的に抑制される。この抑制を指標として、「雛鳥にとって鳥とは何か」(種の認知)を問うた。二羽の雛を透明な板で遮断しても、完全な抑制が見られた。しかし一羽の雛に鏡を提示しても、十分な抑制は生じなかった。ごく軽い麻酔により不活性となった雛の姿も、有効でなかった。また、TFT上に表示した雛の姿も有効ではなかった。明らかに羽毛色の異なるアルビノ個体は、活動的である場合のみ有効であった。以上より、種の認知は他個体とのcorrespondenceに依るあくまで能動的な過程であり、静止した姿の形態視に依るものでないことが示唆された。 (2)雛鳥の大脳高次視覚領における属性変化と注意の表現に関する神経生理学的解析 自由行動下の雛鳥の大脳高次視覚領(IMHV領域)より、慢性植え込み多電極により単一ニューロン活動を記録した。この領域は哺乳類の側頭野皮質と相同であり、一連の破壊実験から古典的「刷り込み」および回避学習課題の成立に必須であることが知られている。啄み行動における対象選択性課題における単一ニューロン活動を解析したところ、対象の視覚的特徴そのものを特異的にコードするニューロンは見いだされなかった。その代わり、属性(罰・報酬・中立)が変化した直後のみ、その物体の提示により特徴的活動をしめすニューロン群が見いだされた。他の一群のニューロンは、新規な色のビーズなど、雛の視覚的注意を喚起する物体の提示にたいして、特徴的活動が見られた。IMHV領域は、属性変化と注意を表現することが示唆された。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Dicke, U., Roth, G., and Matsushima, T.: "Neural substrate for motor control of feeding in Amphibians"Acta Anatomica. 163. 127-143 (1999)
-
[Publications] Matsuura, A., Ohno, T., Matsushima, T., Namikawa, T., and Ishikawa, A.: "Delayed development of reflexes and hyperactive locomotion in the spontaneous mutant "Waltzing" of the musk shrew, Suncus murinus"Experimental Animal. 48. 191-197 (1999)
-
[Publications] Yazaki, Y., Matsushima, T., and Aoki, K.: "Testosterone modulates stimulation-induced calling behavior in Japanese quails"Journal of Comparative Physiology A. 184. 13-19 (1999)
-
[Publications] Ishikawa, Y., Koga, K. and Matsushima T.: "Slowly developing potentiation in goldfish retino-tectal synapses is masked by prior stimulation ; an in vitro study"Comparative Biochemistry and Physiology A. 124. 81-88 (1999)
-
[Publications] 松島俊也: "心とは何か:雛鳥の学習の記銘内容と神経機構"日本比較内分泌学会ニュースレター. 83. 13-19 (1999)
-
[Publications] Yanagihara, S., Izawa, E., and Matsushima, T.: "Single unit activity in lobus parolfactorius (LPO : basal ganglia) of freely-behaving 2-day old domestic chicks during and immediately after one-trial passive avoidance training"Society for Neuroscience (Abstract). 25. 2158 (1999)