2000 Fiscal Year Annual Research Report
体内時計階層構造システムから見た生体恒常性維持機構
Project/Area Number |
11170248
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
柴田 重信 早稲田大学, 人間科学部, 教授 (10162629)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守屋 孝洋 早稲田大学, 人間総合研究センター, 助手 (80298207)
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Keywords | サーカディアンリズム / 体内時計 / 時計遺伝子 / 大脳皮質 / 肝臓 / ホメオスターシス / 脳時計 / 末梢時計 |
Research Abstract |
体内時計遺伝子は主時計である視交叉上核のみに発現するだけでなく、大脳皮質、海馬、小脳にも強く発現することが知られている。また、末梢臓器である肝臓、心臓、腎臓などにも発現しており、生体のホメオスターシスを司るサーカディアンリズムは主時計、脳時計、末梢時計というように階層構造的に出来ている。サーカディアンリズムの周期は24時間より30-60分ずれているためにそれを24時間に同調させる必要がある。同調刺激としては光やメラトニン、セロトニン関連薬物が知られている。これらの薬物が視交叉上核のPer遺伝子発現を調節して同調を引き起こす事が明らかとなった。すなわち、視交叉上核の発振周期の位相はPer遺伝子発現の一過性の抑制や促進で説明できる事が明らかとなった。一方、毎日一定時刻に給餌したり、覚醒剤のメタンフェタミンを投与すると、動物の行動はこの刺激に同調する。このような同調刺激に対して、視交叉上核のPer遺伝子発現は何ら影響を受けなかったが、大脳皮質、室傍核、線条体など多くの脳部位でのPer遺伝子発現は同調させられた。また、面白い事に、このような同調時に肝臓のPer遺伝子発現ならびに、コレステロール代謝のリズムも同調される事が明らかとなった。すなわち、正常状態では視交叉上核のリズムが末梢時計のタイミングを取って生体のホメオスターシスを維持している。ところが、脳時計や末梢時計は給餌制限によりリズムが同調される事が判明した。すなわち、生体は体内時計の階層構造のをうまく利用して、ホメオスターシスの維持を行なっている可能性が考えられた。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Nikaido,T.S: "Seroitized invease of period gene expression in the mouse candate/putamen caused by repeated injection of meth amphatamine."Molecular Pharmacology. 59(in press). (2001)
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[Publications] Shimomura,H,S: "Differential daily expression of per1 and per2 mRNA in the suprachiasmatic nucleus of fetal and early postnatal mice."European Journal of Neuroscience. 13. 1-8 (2001)
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[Publications] 守屋孝洋 ら: "時計遺伝子とリズム同調"神経研究の進歩. 44. 874-882 (2000)