1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11201207
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大畑 哲夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (90152230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 睦 北海道大学, 農学部・演習林, 助手 (20271629)
石井 吉之 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (40222955)
児玉 裕二 北海道大学, 低温科学研究所, 助手 (70186708)
溝口 勝 東京大学, 農学部, 助教授 (00181917)
山崎 剛 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (80220317)
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Keywords | ツンドラ / 水循環 / 積雪 / 凍土 / 蒸発 / 流出 / 熱収支 / 融解深 |
Research Abstract |
平成12年度は、以前から設置してある観測網を基に、陸域水循環の有人通年観測を実施し、また寒冷圏条件下でのモデル検証・駆動実験も併せて行った。当初予定した計画は順調に進み、成果が得られつつある。ツンドラ(ティクシ)については、現地に測器を輸送するとともに計10名が参加し6月から9月まで観測が実施された。2地点での気象観測・詳細な蒸発量測定、観測グリッドを利用しての地中構造の観測、ヘリコプターによる積雪分布・放射特性・地表面温度観測等を実施し、水文・気象の季節変化に関する系統的なデータセットを取得した。草地観測点であるアラス(ヤクーツク付近のティングルー)の予察を5月に行い、9月に測器を移動し、一部(土壌関係)の測器を草地に設置し、平成12年度の観測準備を行った。モデルについては、取得データをもとに水熱交換の一次元モデルを駆動し、応用性の検討を開始した。またRAMS領域モデルを用いて、夏期の現象についての応用性の検討を開始したが、降水パターンの再現性に問題が見られた。陸域水循環モデルについては数種のモデルを改良・結合した総合的モデルの作成を開始した。本年得られた新たな知見は以下の通りである。 (1)ティクシは他ツンドラ地域より蒸発量が少ない。 (2)冬期の積雪分布が夏期流出量や斜面別蒸発量を強く制御する。 (3)ツンドラの融解深分布を見ると土壌水分が多いほど深く、他の地域と傾向が異なる。 また、本研究計画の別課題である名古屋大学班(研究代表者:福嶌義宏)との合同ワークショップを2回開催し、永久凍土帯での水・エネルギー循環の課題、問題点と今後の推進事項を整理した。また、11月にはカナダのGEWEX計画であるMAGSグループとの合同ワークショップに分担者を派遣し、異なる大陸での酷似した気候環境地域での現象を比較対照することを通じて本研究における方向性を再検討した。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] 斉藤篤思: "積雪のある森林域における分光反射特性と植生・積雪指標"水文・水資源学会誌. 12(1). 28-38 (1999)
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[Publications] 山崎剛: "雪氷の絡む陸面の熱・水収支"気象研究ノート. 195. 13-17 (1999)
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[Publications] Kodama Y.: "Seasonal change in the heat fluxes over Siberian tundra"Proceeding of the Northern Research Basin 12th international symposium and workshop. 197-215 (1999)
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[Publications] Kodama Y.: "Water/energy exchange in tundra region near Tiksi"IHAS Report. 8(in press). (2000)
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[Publications] Ishii Y.: "Water balance and streamflow regimes in Arctic Tundra Basin"IHAS Report. 8(in press). (2000)
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[Publications] Ohata T.: "Research issures on land water/heat exchange in Siberia"IHAS Report. 8(印刷中). (2000)
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[Publications] 渡辺晋生: "シベリア・ティクツ近郊のツンドラにおける流動層土壌の層位と物理的性質"水文・水資源学会誌. 13(1). 9-16 (2000)