2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11204203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松本 良 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (40011762)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増田 昌敬 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (50190369)
松田 博貴 熊本大学, 理学部, 助教授 (80274687)
芦 寿一郎 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助手 (40251409)
廣木 義久 大阪教育大学, 教育学部, 助教授 (80273746)
木下 正高 東海大学, 海洋学部, 助教授 (50225009)
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Keywords | 南海トラフ / 国際深海掘削計画 / メタン湧水 / 炭酸塩チムニー / ガスハイドレート |
Research Abstract |
1.南海トラフでの学術ボーリング(国際深海掘削計画)を実現するための準備作業として、掘削提案に必要な資料の整理と予備的分析作業、取りまとめのためのワークショップを開いた。提案は外部評価のあと科学委員会で審議されたが、最終的に、2003年までのフェーズでの掘削は難しい見通しとなった。しかし、提案内容自体は高く評価されているので、次のフェーズでの実現を目指して準備作業を進めたい。 2.南海トラフからは多くの湧水が発見されている。湧水現象とハイドレートの関係を明らかにするため、湧水や湧水の影響をうけた堆積物の分析が必要である。平成12年度においては、東海沖の南海トラフで4回の潜水調査を行い、試料を採取した。今回の潜水では、(1)ハイドレートの広域的な分解に伴うと推定される巨大地滑りを観察し、落差7mほどの正断層を確認した。(2)表層堆積物中の間隙水を採取し分析したが、塩素や酸素の異常は確認出来なかった。 3.沖縄南方、黒島海台の炭酸塩チムニーの分析を行った。海底から突出する産状のものはいずれもドロマイトのみから成ることが明らかになった。ドロマイトが形成されるには、水のマグネシウム;カルシウム比が大きくなる必要がある。蒸発作用や淡水の混入がドロマイト化を促進する事が知られているが、いずれも黒島海台では適用できない。本研究では、メタン湧水のフラックスが大きく海水の硫酸還元反応が進んだことが、マグネシウムの活動度を大きくしたと解釈した。 4.ドロマイトの酸素同位体組成は現在の海水温度と海水の同位体組成から予測される値より有意に重い。水深800m程の海水温度が過去数千年の間に2〜3℃も変動することは考えにくいので、同位体組成の異常は水の同位体が重くなったと考えた。これは、南海トラフ域の湧水がハイドレートに関係していることを示す最初の証拠である。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 松本良: "海洋のメタンハイドレートの起源と資源としての可能性"SUT Bulletin (東京理科大学雑誌). 9-12 (2000)
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[Publications] Matsumoto,R.,and Borowski,W.: "Gas Hydrate Estimated from newly determined isotopic fractionation and ^<18>O anomalies of the interstitial waters : ODP Leq164, Blake Ridge."Sci.Results ODP. 164. 59-66 (2000)
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[Publications] Matsumoto,R.,Uchida,T.: "Occurrence, structure and composition of natural gas hydrates recovered from the Blake Ridge"Sci.Results ODP. 164. 13-28 (2000)
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[Publications] Paull,C.and Matsumoto,R: "Leg 164 gas hydrate drilling : An Overview"Sci.Results ODP. 164. 3-12 (2000)
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[Publications] Lu Hailong,Matsumoto,R.: "Major element geochemistry of the sediments at ODP Site 997"Sci.Results ODP. 164. 147-150 (2000)
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[Publications] Watanabe,Y.Lu Hailong: "Minor and trace element geochemistry of the Blake Ridge sediments at Site 997"Sci.Results ODP. 164. 151-164 (2000)