2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11208202
|
Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
神山 孝吉 国立極地研究所, 研究系, 教授 (70135507)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本山 秀明 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (20210099)
藤井 理行 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 教授 (20125214)
渡辺 興亜 国立極地研究所, 所長 (60111861)
古川 晶雄 国立極地研究所, 研究系, 助手 (70261120)
東 久美子 国立極地研究所, 研究系, 助教授 (80202620)
|
Keywords | 雪氷コア解析 / シベリア広域積雪調査 / 環北極海雪氷コア観測計画 / North GRIP計画 / 北極域の環境変動の復元 / 雪氷コアでの古環境復元計画 / 低温期 / 温暖期 |
Research Abstract |
極域は地球の冷源として、熱源である熱帯とともに地球の気候システムに重要な役割を担っている。極域の冷源と低緯度地方の熱源との間に生じる熱輸送の過程で、大気・海洋大循環の収束域としてさまざまな発生源からの物質が極域に輸送され,氷河・氷床に堆積、保存される。雪氷コアに含まれる諸物質はその時系列堆積であり、その組成比や存在量は地球スケールの気候、環境変動の指標となる。また極域雪氷圏の拡大・縮小は極域の冷源としての役割に大きな影響を与える. 本研究計画は、主に北極圏を中心にコア解析を実施し北極域の環境変動の復元を目指した、国際協同観測への参加を前提とした計画(North GRIP:北部グリーンランド氷床コア計画、IASC・ICAPP:環北極海雪氷コア観測計画、SCAR・PICE:雪氷コアでの古環境復元計画)と、雪氷観測から北極雪氷圏の挙動を明らかにし極域の冷源としての役割を通した地球規模の気候影響の解明を目指した、わが国の北極圏雪氷観測として独自に立案された計画で構成している。 1.North GRIP計画(グリーンランド氷床コア計画)への参加とグリーンランド氷床の研究:主に浅層コアの解析に焦点を絞り近年の環境変動解析を行った.対象地点の年間涵養量は、コア掘削場所の積雪層位観測、δ18O、ECM、DEP測定により検出された火山噴火が原因とみられるピーク深度より0.19m of ice/annualと推定した。 2.IASC・ICAPP(環北極海雪氷コア観測計画)、SCAR・PICE2(雪氷コアでの古環境復元計画)に対応した雪氷コア観測・解析計画:カナダ地質調査所と共同でカナダ、ユーコン準州に位置するローガン山の氷河における氷河予備観測を行った. 3.北極圏雪氷観測:シベリア東部のレナ川流域で広域積雪調査を実施し、大気を通しての物質循環機構を解明した。シベリア高気圧圏における気候および環境変動の実態を明らかにするため、ロシア・アルタイ地域でロシア北極南極研究所、地理学研究所等と予察調査として12mの雪氷コア採取と3mピット観測等を実施した。12mコアの層位構造は、過去10年程度の夏期の融解の痕跡を示していた。 4.雪氷コア解析および解析データの比較:これまでにスバールバルで得られた雪氷コアの解析結果から、低温期は18世紀中頃から20世紀初頭の期間に相当し、この低温期はスバールバルで掘削を実施した全ての地域に共通し、現在はその後の温暖期にあることを示した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] Sugiyama,K.: "Measurement of electrical conductance in ice cores by AC-ECM method."Physics of Ice Core Records.Ed.by T.Hondoh, p.459, Hokkaido University Press, Sapporo.. 173-184 (2000)
-
[Publications] Goto-Azuma,K.: "Processes affecting ice-core chemical stratigraphy(Abstract)."Physics of Ice Core Records.Ed.by T.Hondoh, p.459, Hokkaido University Press, Sapporo.. 213 (2000)
-
[Publications] Watanabe,O.: "Activities of the Japanese Arctic Glaciological Expedition in 1998 (JAGE 1998)."Bulletin of Glaciological Research.. 17. 31-35 (2000)
-
[Publications] 飯塚芳徳: "スバールバル諸島アウストフォンナ氷帽頂上における融解による積雪中化学主成分の流出."雪氷.. 62. 245-254 (2000)
-
[Publications] Takata,M.: "An attempt at determination of calcium in ice by laser induced breakdown spectroscopy."Bulletin of Glaciological Research. 17. 37-42 (2000)
-
[Publications] Motoyama,H.: "Distribution of chemical constituents in superimposed ice from Austre Broggerbreen, Spitsbergen."Geografiska Annaler.. 82A. 33-38 (2000)