1999 Fiscal Year Annual Research Report
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11208204
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | National Institute of Polar Research |
Principal Investigator |
神田 啓史 国立極地研究所, 北極圏環境研究センター, 教授 (70099935)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森脇 喜一 国立極地研究所, 研究系, 教授 (50033501)
大山 佳邦 国立極地研究所, 研究系, 教授 (30044788)
内藤 靖彦 国立極地研究所, 教授 (80017087)
綿貫 豊 北海道大学, 農学部, 助教授 (40192819)
伊村 智 国立極地研究所, 研究系, 助手 (90221788)
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Keywords | 炭素循環 / 氷河後退域 / バイオマス / OTC / 蘚類 / 第1次遷移過程 / 年間生産量 / 光合成 |
Research Abstract |
本課題のもとで、平成11年度は7月〜8月、スバールバル諸島、スピッツベルゲン島ニーオルスン地域で氷河生態系の調査・研究を行った。研究実績の概要は以下の様であった。 (1)土壌における炭素循環 スピッツベルゲン、ニーオルスンのベレッガー氷河後退域の新しい土壌から成熟した土壌をATP法、SIR法で測定し、バイオマスを明らかにした。OTCの内外におけるバイオマス、温度依存性について人工的な温暖化実験により解析した。OTC内の土壌ATP濃度はOTC外に比べて有意に低かった。この傾向はOTC設置後の時間的な要因を考慮してその原因について考察した。 (2)北極の蘚類群落構造と生理的特性、年間生産量の推定 自然環境と人工環境における蘚類群落水分、温度、光の調整により、光合成速度を測定し、蘚類のコロニー構造、シュート構造の意味を考察した。また、第一次遷移過程における蘚類の年間生産量の推定を行った。蘚類群落の乾燥地では湿潤地に比して、コロニーが単位体積当たりの重量及び面積当たりのシュート数ともに高い値を得た。また、コロニー内の保温能力が高く、長時間水分を保持することができる事が明らかになった。年間生産量の推定では、光合成速度の至適温度は15℃であり、光量子密度が300μmolm^<-2>s^<-1>以上では3℃でも活性が認められた。光合成のための制限要因は温度よりも水分が関与している可能生が示唆された。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 西谷里美、 増沢武弘、 Geir Gabrielsen, 美里直美、 神田啓史、 石津純一: "北極圏のムカゴトラノオにおけるフェノロジーとプレフォーメーション"(1999)
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[Publications] 日下部朝子、 都築勇人、 竹島喜芳、 末田達彦: "航空レーザー測高によるカナダ亜寒帯の森林葉面積推定とLANDSATTM"第22回極域生物シンポジウム (平成11年12月3日開催、国立極地研究所). (1999)
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[Publications] 上野健、 別宮有紀子、 伊村智、 神田啓司: "水分環境の変化に伴うカギハイゴケの形態変化とその生態的意義"第22回極域生物シンポジウム (平成11年12月3日開催、国立極地研究所). (1999)
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[Publications] 別宮有紀子、 神田啓史: "OTCによる温暖化が北極土壌微生物バイオマスに及ぼす影響"第22回極域生物シンポジウム (平成11年12月3日開催、国立極地研究所). (1999)
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[Publications] 内田雅巳、 別宮有紀子、 中坪孝之、 上野健、 神田啓史、 小泉博: "北極ニーオルスン氷河後退域における蘚類の一次生産と環境条件"第22回極域生物シンポジウム (平成11年12月3日開催、国立極地研究所). (1999)
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[Publications] 和田直也、 神田啓史: "北極におけるオープン・トップ・チャンバーを用いた環境操作がチョウノスケソウの種子に及ぼす影響"第22回極域生物シンポジウム (平成11年12月3日開催、国立極地研究所). (1999)
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[Publications] 小野覚、 和田直也: "Ny-Ålesundにおける氷河後退後の植生・土壌系分化発達の様相"第22回極域生物シンポジウム (平成11年12月3日開催、国立極地研究所). (1999)
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[Publications] 上野健、 別宮有紀子、 内田雅巳、 伊村智、 神田啓史: "異なる水分環境に生育するカギハイゴケの光合成特異性"日本生態学会発表 (平成12年3月23日〜25日、広島大学). (2000)
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[Publications] Kojima,S. & Wada,N.: "Vegetation and soil relationship in the recently deglaciated terrains in Ny-Ålesund, Svalbard."第2回北極環境研究国際シンポジウム (平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Kanda,H. & 3 others: "Flora and vegetation of deglaciated area in Ny-Ålesund, Svalbard."第2回北極環境研究国際シンポジウム (平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Nishitani,S. & 5 others: "Arctic Polygonum viviparum ; Growth and reproduction in relation to preformation."第2回北極環境研究国際シンポジウム (平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Ueno,T. & 3 others: "Structure and functional role of moss colony, Sanionia uncinata in different water environments."第2回北極環境研究国際シンポジウム (平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Takeuchi,N. & 3 others: "Biological characteristics of dark colored material in Canadian High Arctic glaciers."第2回北極環境研究国際シンポジウム (平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Elster,J. & 3 others: "Algal primary succession on newly deglaciated Arctic moraine,Ny-Ålesund, Svalbard."第2回北極環境研究国際シンポジウム (平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)
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[Publications] Bekku,Y. & Kanda,H.: "Response of microbial biomass in arctic soil to artificial warming by using Open top chamber."第2回北極環境研究国際シンポジウム (平成12年2月23日〜25日開催、国立極地研究所). (2000)