2000 Fiscal Year Annual Research Report
CO_2濃度上昇に対する個葉レベルの応答がらのスケールアップ
Project/Area Number |
11213201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
広瀬 忠樹 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90092311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
彦坂 幸毅 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10272006)
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Keywords | CO_2 / 個葉 / 個体 / 群落 / スケールアップ / 光合成 / 生産構造 / サイズヒエラルギー |
Research Abstract |
オープントップチャンバーを用いて,大気CO_2濃度上昇に対する純群落内の個体の成長・光合成の応答を解析した.1年生草本シロザの同種同齢個体群を育成し,各個体の成長を追跡した.高CO_2処理は,上層個体の成長を促進したが,下層個体の成長を促進せず,個体サイズの不均一性を拡大した.高CO_2処理は群落全体の成長量を促進するものの,すべての個体の成長を同じように促進するわけではない.この違いをもたらすメカニズムを明らかにするために,個体光合成モデルを用いて解析した.その結果,高CO_2による個体の成長促進が群落下層の光環境悪化を促進し,これが下層個体の成長を抑制していたことが明らかになった. また,1年生草本オオオナモミを材料に,2つの栄養条件のもとで繁殖成長に対するCO_2上昇の影響を調べた.貧栄養条件では繁殖収量に高CO_2の影響はみられなかったが,富栄養条件では高CO_2によって繁殖収量が増加した.これは高CO_2によって繁殖期間中の個体成長が促進されたためで,その原因は葉の光合成が増加したこととと生育末期の葉面積減少の開始が遅れたことにあったことを明らかにした. 多年草イタドリの成長に与える高CO_2の影響について「機能的平衡仮説」にもとずいて解析した.同じCO_2条件のもとでは葉重-根重比は植物体の窒素濃度に対して直線関係が成立するが,この直線関係は異なるCO_2の間で有意な差があった.しかし葉面積-根重比を植物体窒素濃度に対してプロットすると異なるCO_2を通して同一の直線関係が見いだされた.これは植物が地上部と地下部のバランスを保つように葉重-葉面積比を変化させていることを示唆している.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Anten NPR,Hikosaka K Hirose T: "Nitrogen utilisation and the photosynthetic system."B Marshall,J Roberts(eds)Leaf Development and Canopy Growth.Sheffield Academic Press,Sheffield,UK.. 171-203 (2000)
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[Publications] Hikosaka K,Hirose T: "Photosynthetic nitrogen use efficiency in species coexisting in a warm-temperate evergreen forest."Tree Physiology. 20. 1249-1254 (2000)
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[Publications] Hikosaka K,Hirose T: "Nitrogen uptake and use of competing individuals in a Xanthium canadense stand."Oecologia. 126. 174-181 (2001)
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[Publications] Anten NPR,Hirose T: "Limitations on photosynthesis of competing individuals in stands and consequences for canopy structure."Oecologia. (in press). (2001)