1999 Fiscal Year Annual Research Report
大自由度散逸系における時空乱れの特異性に関する研究
Project/Area Number |
11214203
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蔵本 由紀 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40037247)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 道夫 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (90166736)
吉川 研一 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (80110823)
甲斐 昌一 九州大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20112295)
藤 定義 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (10217458)
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Keywords | 乱流 / ナヴィエ-ストークス方程式 / BZ反応 / 電気力学的不安定性 / 時空カオス / 熱対流 / 間欠性 / 多重フラクタル |
Research Abstract |
本計画班では、ナヴィエ-ストークス流体、電気力学的対流、光誘起化学反応系など異なった物理的対象に現れる複雑な時空挙動(乱流)に共通する性質を、数学的な特異構造の立場から明かにしていく。 光誘起BZ反応系の実験的研究では、任意の空間パターンをもつ光刺激を反応溶液に照射することのできる実験系を確立した。これにより、種々の2次元パターンの光照射の下での興奮波の伝播の挙動を調べることが可能になった。この技術は興奮場における論理演算、種々の形状をもつ興奮場における反応拡散波の伝播挙動、興奮場の複雑な時空挙動の研究を進める上で有力な手段をあたえるものである。 液晶の電気力学的不安定性の実験においては、特に連続回転対称性をもと特異な液晶配向系の対流パターンの研究を開始した。連続回転対称性の自発的破れに起因したゴールドストーンモード(GM)の存在により、対流発生点で弱い時空カオスが発生することが知られているが、その統計的指標である相関関数の転移点近傍での挙動が明らかとなってきた。印加磁場の強度によってGMの現象への寄与を制御できることから、この系はGMの関与する時空カオスの研究にとってきわめて有利な系を提供する。 発達したナヴィエ-ストークス乱流の理論的研究においては、慣性小領域の特異性が散逸力学系としての系の解軌道のカオス的不安定性やそれをサポートする波数空間上の領域とどのように関わるかという点に着目し、シェルモデルにおける解析を低次元カオス力学系やKuramoto-Sivashinsky系と比較することから研究を開始し、すでにいくつかの重要な知見が得られつつある。 発達した熱対流乱流の数値シミュレーションを中心とした研究においては、自由対流乱流の間欠性揺らぎを、乱流中の秩序構造およびその極限としての特異構造と関連づけて理解することを試みている。具体的には、3次元ナヴィエ-ストークス乱流と類似の微細秩序構造が存在すること、間欠性のスケーリング指数が非粘性極限での特徴的挙動などが明かとなってきた。 非局所結合振動場で理論的に見出された多重フラクタル性をもつ時空カオスの数理的研究に関しては、局所結合系である反応拡散系においても生じることが明らかとなり、今後は実験による検証が望まれる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] H. Nakao, Y. Kuramoto: "MuHi-affinity and multi-fractality in systems of chaotic elements with long-range forcing"The European Physical Journal B. B11. 345-360 (1999)
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[Publications] J. H. Huh, Y. Hidaka, S. Kai: "Formation scenario for nonlinear patterns in electro convection under controlling Goldstone modes in magnetic field"Journal of Physical Society of Japan. 38・5. 565-572 (1999)
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[Publications] J. H. Huh, Y. Hidaka, S. Kai: "New Scenario to spatio-temporal chaosin normal roll regime with magnetic field in electroconvection of homeotropic nematics"Molecular Crystals and Liquid Crystals. 38. 497-504 (1999)
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[Publications] J. H. Huh, Y. Hidaka, S. Kai: "Pattern formation of chevrons in conduction regime in homeotropically aligned nematics"Physical Review E. 61-3. 2769-2776 (2000)
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[Publications] I. Motoike and K. Yoshikawa: "Information operations with an excitable field"Physical Review E. 59. 5354-5360 (1999)
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[Publications] D. Horvath, A. Toth, K. Yoshikawa: "Electric field induced lateral instability in a simple autocatalytic front"Journal of Chemical Physics. 111. 10-13 (1999)