2000 Fiscal Year Annual Research Report
マンガン酸化物の光誘起磁気相転移とその超高速ダイナミックス
Project/Area Number |
11215205
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 新男 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (50159068)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
守友 浩 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助教授 (00283466)
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Keywords | ペロブスカイト型酸化物 / 光誘起相転移 / 混合原子価金錯体 / 二重交換系 / 電荷移動遷移 / 超高速レーザー分光 |
Research Abstract |
光誘起磁気相転移の舞台となるペロブスカイト型遷移金属酸化物の電気・磁気物性および短パルス光によるキャリヤドーピングによって引き起こされる磁気相転移とそのダイナミクスに関する研究を行った。 1)相転移温度近傍におけるダイナミクス:La_<0.7>Ca_<0.3>MnO_3 T<T_c=260Kの強磁性相では、Mn^<3+>イオンのe_g遍歴電子とt_<2g>局在電子との二重交換相互作用によってスピンは強磁性的にorderしている。しかし短パルス光により、酸素の2p電子スピンをMnのe_g軌道へ電荷移動励起することによってこの磁気的秩序が破れる。5Kでは透過率変化ΔTは〜30nsで回復するが、回復時間τ_Aは温度に強く依存する。磁気秩序回復と電荷整列クラスター消滅に対応する緩和時間は、転移温度に近づくと、30-100nsから30μsへ発散的に増加することが明らかになった。相転移に特徴的な臨界緩和現象を光誘起現象として観測することができた。 2)光誘起磁気相転移に伴った電気抵抗の変化:La_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3 二重交換系では、局在スピンが強磁性秩序をもっている場合にe_g遍歴電子は自由に動き回れるので、伝導特性は金属的振る舞いを示す。しかし光励起によってspin-disorderが導入されるならば、電気抵抗が増大することが期待される。光誘起抵抗変化ΔR/Rを測定したところ、その緩和時定数、励起波長依存性、温度依存性が、spin-orderの変化を敏感に反映する透過率変化の振る舞いによく一致していることがわかった。電気抵抗をプローブとして光誘起磁気相転移を検出することに成功した。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] X.J.Liu, et al.: "Photoinduced phase transition in a mixed-valence gold complex Cs_2Au_2Br_6"Phys.Rev.B. 61. 20-23 (2000)
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[Publications] X.J.Liu, et al.: "Critical nucleation in the photo-transferred metastable phase of Cs_2Au_2Br_6"J.of Phys.Soc.Jpn. 69. 1267-1270 (2000)
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[Publications] X.J.Liu, et al.: "Room-temperature photo-switching in La_<0.6>Sr_<0.4>MnO_3 film"Jpn.J.Appl.Phys.. 39. 670-672 (2000)
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[Publications] A.Machida, et al.: "Reconsideration of the lattice effect on the charge-ordering transition of doped manganites"Phys.Rev.B. 62. 80-83 (2000)
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[Publications] X.J.Liu, et al.: "Photoinduced resistivity change due to spin-disorder in a manganite film"Jpn.J.Appl.Phys.. 39. L1233-L1235 (2000)
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[Publications] T.Akimoto, et al.: "Observation of anomalous single magnon scattering in half-metallic ferromagnets by chemical pressure control"Phys.Rev.Lett.. 85. 3914-3917 (2000)