2002 Fiscal Year Annual Research Report
余剰活性汚泥を用いた生物分解性プラスチック生産に関する検討
Project/Area Number |
11217203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
味埜 俊 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (60166098)
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Keywords | 活性汚泥 / 余剰汚泥 / 生物分解性プラスチック / ポリヒドロキシアルカノエイト(PHA) / 3-ヒドロキシ-2-メチル吉草酸 / 嫌気好気式活性汚泥法 |
Research Abstract |
本研究では活性汚泥を用いての生物分解性プラスチックの生産について、実用的可能性を探るとともに、微生物学レベルでの基礎的な検討をおこなってきた。本年度は、3-ヒドロキシ-2-メチル吉草酸(3H2MV)を含むPHAの合成におよぼす酸素供給の影響について検討を行った。3H2MVを含むPHAは、これまで、嫌気好気式条件において運転されている活性汚泥(嫌気好気活性汚泥)からのみ生成が報告されている。3H2MVは嫌気好気活性汚泥が嫌気条件においてプロピオン酸を摂取した時に生成されると報告されている。一方、嫌気好気式活性汚泥は嫌気条件よりもむしろ好気条件において活発にPHAを合成することが知られている。そこで、本研究では嫌気好気活性汚泥に嫌気条件、微量に酸素を供給した条件、過剰に酸素を供給した条件のそれぞれでプロピオン酸を投与し、3H2MVを含むPHAの生産について検討を行った。 酸素を供給することによりPHA生産そのものは促進され、PHA含有率は嫌気条件では最大40%であったが、過剰に酸素を供給した場合55%となった。しかし、生成されたPHA中の3H2MVの割合は、嫌気条件では30%程度であったものが、酸素を過剰に供給した条件では10%強にまで低下した。3H2MV含有率の低下の原因は、摂取されたプロピオン酸の大部分が部分酸化され、アセチル補酵素Aを経てPHAに組み込まれたためであると考えられる。その一方、酸素供給を絞った実験ではプロピオン酸の部分酸化が抑制され、かつ、3H2MVの生成そのものが促進されうることを示唆する結果が得られた。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 佐藤弘泰, 小貫元治, 味埜俊: "活牲汚泥中の細菌を利用した生分解性プラスチックの生産"月刊エコインダストリー. 7・10. 5-11 (2002)
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[Publications] 佐藤弘泰, 味埜俊: "グリーンプラスチック最新技術(部分執筆)"シーエムシー出版. 11 (2002)