1999 Fiscal Year Annual Research Report
ポリ乳酸をベースとする生分解性ポリエステルの構造と物理的特性に関する研究
Project/Area Number |
11217209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Priority Areas (B)
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
辻 秀人 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (60227395)
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Keywords | 生分解性高分子材料 / 生分解性ポリエステル / ポリ乳酸 / 多孔化材料 / ポリマーブレンド / 力学的特性 / 親水性 / 吸水挙動 |
Research Abstract |
12年度は、主に以下の2つの項目に関する研究を行った。 1.親水性生分解性高分子とのブレンド材料 生分解性材料に親水性の異なった材料をブレンドすることは、その親水性および酵素的・非酵素的加水分解特性をコントロールする上で、重要であると考えられる。脂肪族ポリエステル以外の生分解性高分子としては、親水性のポリビニルアルコール(PVA)を選び、疎水性のポリ(L-乳酸)(PLLA)とのブレンドを作製して、乾燥および吸水状態における力学的特性、吸水挙動、親水性、および酵素的・非酵素的加水分解挙動を検討した。その結果、ブレンド中でPLLAとPVAが相分離していること、および乾燥および吸水状態での力学的特性、吸水挙動、および親水性をブレンド比により幅広くコントロールできることが明らかとなった。 2.生分解性ポリエステルの多孔化 これまでの多孔性生分解性材料の作製は、主に水溶性の無機塩やゼラチンなどの微粒子を用いてブレンド材料を作製し、これから水溶性成分を抽出することにより作製されてきた。しかし、この方法では、前もって特定の粒子径をもった水溶性微粒子を作製する必要があった。本研究においては、水溶性高分子としてポリエチレンオキシド(PEO)を、生分解性ポリエステルとしてPLLAおよびポリ(ε-カプロラクトン)(PCL)を用い、両者から相分離ブレンドを作製し、これからPEOを抽出することにより多孔性PLLAおよびPCLを作製した。その結果、PEOの分子量とブレンド比により多孔性および孔径の制御が可能であること、およびPCLの場合には多孔性を上げることにより無孔性PCLの1/10の弾性率をもったソフトな生分解性材料の作製が可能であることが明らかとなった。
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