1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11222201
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 康二 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (10107443)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北島 正弘 東京大学, 金属材料技術研究所, グループリーダー
藤原 毅夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (90011113)
目良 裕 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40219960)
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Keywords | 走査トンネル顕微鏡 / 電子励起 / 塩素 / フラーレン / Si表面 / 表面バンド / 拡散 / 脱離 |
Research Abstract |
走査トンネル顕微鏡(STM)の探針から適当なサンプルバイアスV_sでトンネル電流注入(プローブ励起)すると、固体表面付近の特定電子準位へ(から)電子を選択的に注入する(引き抜く)ことができることに着目し、他の励起法で惹起される一連の電子励起過程のいずれが原子移動を誘起するのかを明らかにできる。本年度は、光誘起効果の知られているCl原子もしくはC_<60>クラスタ(フラーレン)を吸着したSi表面についてプローブ励起効果を調べた結果、以下のことが分かった。 Si(111)-(7×7)表面上のCl:特定のバイアス値(電子注入で+4V,ホール注入で-2V)でCl原子の拡散が誘起される。効果は両極性とも電流I_tに比例し、電流注入点から10nm程度広がる。ステップエッジ効果が阻止されることから、表面バンドヘ注入されたホットキャリアがCl吸着サイトにトラップされ拡散を誘起すると結論した。類似の現象はCl脱離でも起こる。 Si(001)-(2×1)表面上のCl:電子注入では+1.2Vで最大,ホール注入では-1.5V〜-3VのあいだでCl原子の拡散が促進される。電子注入効果はSi-Cl反結合性軌道への直接電子注入によって、ホール注入効果は表面バンドヘ注入されたホールがC1未吸着のSiダングリングボンドヘトラップされ、隣接するCl原子がそこヘジャンプしやすくなるためと解釈できる。 Si(111)-(7×7)表面上C_<60>FCC単結晶膜:比較的弱いプローブ励起条件(V_s +5V,I_t 0.3nA)では、光重合と同じクラスタ重合が圧縮応力サイトで不均一核形成的に進行し、注入点から効果は10nm程度三次元的に広がる。強励起条件(V_s +5V, I_t 0.3nA)では、巨大クラスタ生成もしくはアモルファス化が起こる。局所状態密度はC_<60>膜に比べHOMO-LUMOギャップの減少を示す。
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[Publications] 前田康二: "塩素吸着シリコン表面のレーザー励起エッチング"表面科学. 20・6. 393-400 (1999)
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[Publications] Y. Nakamura: "A Reproducible Method to Fabricate Atomically Sharp Tips for Scanning Tunneling Microscopy"Rev. Sci. Instrum. 70・8. 3373-3376 (1999)
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[Publications] K. Maeda: "Electronically induced Dislocation Glide Motion in Hexagonal GaN Single Crystals"Physica B. 273-274. 134-139 (1999)