1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
11222202
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
金崎 順一 大阪市立大学, 工学部, 助教授 (80204535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷村 克己 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (00135328)
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Keywords | 半導体表面 / 原子分子操作 / 光誘起構造変化 / レーザー / 電子励起効果 / トンネル顕微鏡 / シリコン / インジウムリン |
Research Abstract |
レーザー光を用いた半導体表面における原子・分子操作制御の条件設定を目的として、表面で発生する光誘起構造変化の微視的・形態的特徴及びその効率と、表面基礎物性及び励起条件との相関に関する研究を開始した。これまでの研究により、InP(110)劈開表面に460nmのレーザー光を照射すると、(1)表面最外層のP副格子に(2)電子的結合切断により、(3)空格子点が発生する事、が明らかになっている。本年度はInP(110)-(1×1)劈開表面で発生する光誘起構造変化の形態及び効率の特徴を、1)注人ドーバントの種類及び2)励起光波長という2つの観点に着目して研究を行った。 1)表面における光生成キャリアダイナミクスの違いが電子的結合切断及び構造変化の形態及び効率に及ぼす効果を明らかにするため、n-type及びp-typeのInP試料において460nmレーザー光照射後に誘起される構造変化の形態及び効率を比較検討し、以下の結果を得た (1)p-typeの試料では孤立空格子点のみが生成されるのに対し、n-type試料では[110]方位に伸びた一次元的な空格子点チェーンが効率的に成長していく。 (2)照射ドーズ量に対して、p-typeでは一定の効率で空格子点が生成されるのに対して、n-typeでは生成効率が大きく減衰する。 (3)照射初期における生成効率は、いずれの表面についても励起強度に対して非線形な増大を示し、生成効率はn-type試料のほうが数倍高い。 2)励起光波長と発生する構造変化形態及び効率との相関を明らかにするため、n-type試料に550nmのパルス光を照射し、発生する構造変化を460nm励起の場合と比較検討した。 (1)最外原子層のみが2次元的に剥離した空格子点クラスターの形成が観測された。 (2)空格子点生成の効率は励起強度に対して非線形で、その値は460nmの場合より小さい。 本研究により、構造変化の形態及び効率が、ドーパントの種類や励起光波長・励起強度に強く依存することが明らかとなり、原子分子操作の制御に関する手がかりを得た。励起波長に依存した構造変化形態の違いは、光励起により発生した電子励起状態の違いにより構造変化の形態を制御できる可能性を示唆しており、それぞれの構造変化形態を発生させる電子励起状態の特定が今後重要と考えられる。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] N. Itoh: "Laser-Induced Desorption from STM-Selected Semiconductor sites"Progress in Surface Science. 61・1. 1-19 (1999)
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[Publications] 金崎 順一: "半導体表面構造の光誘起変化と原子の脱離"固体物理. 34巻・8. 657-668 (1999)
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[Publications] K. Tanimura: "Laser-Induced Electronic Bond Breaking and Structural Changes on Semiconductor Surfaces"Laser Applications in Microelectronic and Optoelectronic Manufacturing TV, Society of Photo-Optical Instrumentation Engineers(SPLE). 3618. 26-36 (1999)